deco
deco
deco
deco
category:勉強方法
見つかる、キミの未来。中学校・高等学校 進学NEWS
deco
deco
deco
deco
deco
deco
2023.06.01

どうして苦手になるの?「算数大好き!」を育てる方法

皆さんは算数は好きですか?

算数でつまずかないための方法については「小学校算数でぶつかる3つの壁」と「『算数の壁』の越え方 その1その2その3 」でご紹介しました。今回は「算数大好き!」を育てる方法をご紹介します。算数が好きだと思えることで、算数の壁も楽しく越えられることでしょう。

認知科学や学習科学の研究と、長年にわたって見てきたさんすう教室の子どもたちの様子を考え合わせると、算数が嫌いになってしまう大きな理由は2つあるようです。この2つの理由を中心に「算数大好き!」な気持ちを育てる方法をご紹介します。

<自分のこととして感じにくい学校の算数>

算数が嫌いになる理由の1つとして、学んでいる単元を自分のこととして感じにくいということがあげられます。子どもたちにとっては、自分が登場する場面の中で、その単元の知識を使っている姿が思い浮かばないのです。算数で学習するそれぞれの単元の背景には、その知識を使う場面があります。ついついテストで点を取るためだけの勉強になったり、計算の手法に気を取られたりしてしまいがちですが、本来は場面とセットで学ばなければ算数の知識は使えるものにはなりません。

ところが、日本の教科書では多くの場合、場面設定は抽象的か、または現実的ではなく、子どもたちにとっては自分のこととして考えにくい状況があります。最近も教室の子どもに「先生、本当にこんな場面ってあるんですか?」と聞かれたのですが、確かに現実ではありえなさそうな場面だったため、「なさそうだよね...」と言葉に詰まってしまいました。

反対に、私が最近目にしたアメリカの文章題は、「今はクリスマスホリデーです。」から始まり、割合を使って飛行機が遅延する時間を計算するという現実的なものでした。場面が目に浮かびます。特定の場面だけに結びついた知識はかえって活用しにくいものになる可能性はあるものの、抽象的過ぎて自分のこととして捉えにくい算数というのも改善の余地がありそうです。何よりも楽しくないのは問題です。

<日常の中にさりげなく算数を散りばめてみる>

では、どのようにすれば算数を使う場面を身近なものと感じられるのでしょうか。それは現実の場面の中に算数を散りばめていく方法がお勧めです。散りばめるのですから、どかっと多くを乗せたりするのではありません。時計を読む時に、午後2時を「14時とも言うんだよ。」とさりげなく伝えてみたり、家族で車で出かけた時に、「今は時速60kmで走っているね。」というように「時速」という言葉を使ってみたりと、そんなささいなことでいいのです。それらが、自分ごととして算数を感じる土台になります。

自分がいる場面の中で、言葉として聞いたことがあったり、体感したりしたことは、生きた知識を作ることでしょう。自分のこととして感じられる算数はきっと楽しいものになります。

<立ちはだかる「高学年の壁」>

算数が嫌いになるもう1つの理由として、学ぶ内容が抽象的になるタイミングで現れる「5年生の壁」があります。詳しくは前述の「小学校算数でぶつかる3つの壁」などでご紹介していますが、この壁をうまく越えることは自信にもつながり「算数大好き!」を育てることにもつながります。

この壁は、数が表すものが量だけではなくなる時期に現れます。5年生までに出てくる数のほとんどは量を表しています。ところが5年生になると、量ではなく、「数と数の関係」を表す数をたくさん学びます。「倍」「割合」、「比」、「単位量当たりの大きさ」などがこれに当たりますが、子どもたちにとってはイメージしにくく難しいと感じるようです。

心理学者ピアジェの思考発達段階説と照らし合わせても、抽象的な思考ができるのは概ね11歳以降ですから、難しく感じるのは当然でしょう。

<「高学年の壁」を越えるための助走は低学年から>

この壁を越えるためには、低学年の頃から助走を始めることがお勧めです。といっても、机に向かって知識を詰め込むのではなく、やはり日常生活の中に先に学ぶ知識を少しずつ散りばめておくのです。ヒトが新しいことを学ぶというのは、空の器に知識を詰め込むのではないことが研究でわかっています。子どもたちも私たち大人も、普段の生活や学校で身に付けた何かしらの知識に新しい知識をつないでいきます。「割合」などの新しい知識につなぐための知識を、前もって少しずつ準備することが「高学年の壁」を越えるための助走となります。そしてその知識は、「発達段階論」を提唱した心理学者ピアジェの説から考えても具体的なものがよいでしょう。

教科書では、「倍」は子どもたちが初めて出会う、数と数の関係を表す数になるのですが、「倍」や「比」、「割合」は、変えなければ性質も変わらないことが多いため、味を変えずに作りたいお料理や、お菓子作りの中で体験できます。例えば、ポップコーンを作りながら「倍」を体験しておけば、「倍」だけでなく、そこからつながる「比」や「割合」を学ぶ時の助走になります。(「『倍』を使ってポップコーンを作ろう!」でご紹介しています) 「高学年の壁」となるイメージしにくい単元は、できるだけ実感できる楽しく具体的な体験で助走しておくとよいでしょう。



このように、「算数大好き!」を育てるためには、算数嫌いになる2つの理由を知って、親子の体験の中で算数を自分のこととして捉えられるようにしたり、楽しく数と数の関係の数を使ってみることがポイントになりそうです。そして何よりも、親子での楽しい体験は「算数大好き!」を育てます。

ハッシュタグで関連記事を見てみる
#おうち学習 , #中牟田宴子 , #低学年 , #算数の壁 , #高学年
[中牟田 宴子]
nakamuta_yasuko.jpg
プロフィール : 中牟田 宴子(なかむた やすこ)

家庭教育研究家。

九州大学卒業。大学では認知心理学を専攻。

大学卒業後は大手メーカーでシステムエンジニアとしてプログラムの設計と開発を担当する。その後育児期間を経て現在は、認知心理学を基に数学と科学などのつながりを学べる「算数・数学塾」を企画運営しながら家庭教育を研究。子どもたちが不思議なものに出会って驚いたり感動したりする瞬間に立ち会えるのが幸せ。

2012年より5年間東京大学大学院工学系研究科で工学教育に関わった。

NPO法人センス・オブ・ワンダーの代表を務め、東京大学工学部や研究機関と共に子どものためのサイエンスカフェなどを企画開催。

認知心理学に基づくナカムタメソッドの研究開発を行い、算数とアート、理科などが融合したコンテンツの開発と普及を行っている。



家庭だから伸ばせる子どもの才能

「算数・数学塾」の企画・運営の中で発見したことや、二児の母として子どもを育てる上で実践してきた家庭学習のヒントとその成果などをつづったブログです。

https://sansu-sugau.hatenablog.com/



現在、さいたま市にて開校している「さんすう大好き!」が生まれる教室、 「算数・数学塾」のWEBサイト

http://sansusugaku.wixsite.com/home



NPO法人センス・オブ・ワンダーのブログ

http://sense-of-wonder-2008.cocolog-nifty.com/blog/

インフォメーション

記事一覧に戻る
[PR]
[PR]
[PR]
deco
deco