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category:勉強方法
見つかる、キミの未来。中学校・高等学校 進学NEWS
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2021.12.01

「算数の壁」の越え方その2 5年生:数が表すものを意識する

小学校の算数の3つの壁のうち、2番目に出会うのは5年生の壁です。いったいなぜ5年生なのでしょうか。数というものが何を表しているのかに注目すると具体的な理由が見えてきます。

数が表すもの

そもそも、数というのは自然に生まれたものではなく、人類が創り出したものです。私たちは当たり前のように数を数えていますが、小石が5個というのも、枝が5本というのも、同じ5だということに人類が気づくまでには、長い時間がかかりました。
小学校で学ぶ数は、リンゴやバナナなどの個数を表すものから始まります。この場合、数は量を表しています。算数の世界と現実の世界をつないでいるのは量ですから、子どもたちにとってもこれらの数は分かりやすいでしょう。他にも小学校では「順序を表す数」や「場所を表す数」、またこの後に説明する「単位量当たりの大きさ」や「割合」などを学びます。

5年生の算数が難しく感じられる理由

5年生までに出てくる数は、2年生の「倍」をのぞいて、リンゴやバナナの個数のようにたしたりひいたりすることができます。なぜなら数が直接ものの量を表しているからです。ところが、5年生から出てくる数には、たしたりひいたりできないものがあります。直接ものの量を表さず、数と数の関係を表す数です。
子どもたちにとってはイメージがつかみにくく難しく感じられるようです。ピアジェの思考発達段階説と照らし合わせても抽象的な思考ができるのは概ね11歳以降ですから、5年生の子どもたちにとっては大きな壁といえるでしょう。この壁についてさらに詳しく見てみましょう。

「単位量当たりの大きさ」:違う種類の数と数の関係を表す数

5年生の壁とは具体的には何なのでしょうか。その1つは「単位量当たりの大きさ」です。
「単位量当たりの大きさ」というのは、1平方メートル当たりの人数のように、混み具合などをくらべるときに使うものです。「単位量当たりの大きさ」を使って混み具合を調べる場合は、1平方メートル当たりの人数を計算しますので、人数を面積でわります。
このようにして計算された数は直接ものの量は表さず、数と数の関係を表すことになります。この場合は人数と面積の関係を表しています。1時間あたりに進む距離などを表す「速度」も「単位量当たりの大きさ」に分類できます。

「割合」:主に同じ種類の数と数の関係を表す数

5年生の壁のもう1つは「割合」です。
「割合」も数と数との関係を表しています。例えば、さきほどと同じように混み具合を調べてみましょう。座れる人数が40人のバスに32人のお客さんが乗っている場合と、座れる人数が24人のバスに18人のお客さんが乗っている場合はどちらが混んでいるでしょう。
座れる人数が違うため、このままでは混み具合を比べることができませんが、座れる人数に対してどのくらいの「割合」のお客さんが乗っているかを計算することで混み具合を比べることができます。ここでの「割合」は座れる人数とお客さんの人数の関係を表しています。

同じ混み具合を調べる場合でも、「単位量当たりの大きさ」を使う場合は人数を面積でわり、人数と面積の関係を数で表します。一方で「割合」を使う場合は、お客さんの人数を座れる人数でわり、人数と人数の関係を数で表します。
「単位量当たりの大きさ」は違う種類の数の関係を表す一方で、「割合」は主に同じ種類の数の関係を表しているのです。とはいえどちらも数と数の関係を表すという意味では変わりません。また関係を表しているだけですから、元になる量がなければ実際の量はわかりません。

「割合」の仲間

5年生では他にも「割合」の仲間を学びます。その1つは「比」です。「比」も数と数の関係を表しています。この「比」を連続させていくと「比例」になります。
さらに「百分率」があります。これは「割合」を表す方法の1つで「パーセント」という単位で表されますが、「パーセント」とは「100につき」という意味ですから、全体を100とみたときに割合がどのくらいになるかという表し方になっています。
また2年生で学習する「倍」も「割合」の仲間です。数と数の関係を表す数の考え方の基になりますので、丁寧に学習しておきたいところです。

5年生の壁を越えるために

ここまで見てきて、5年生の算数がいかに抽象的で難しいかということを感じて頂けたと思います。ではどのようにして壁を越えたらよいでしょうか。
お勧めの方法は、指導する側も学ぶ側も、数には直接量を表す数と、数と数の関係を表す数があるということを意識して区別することです。昔の人はこれらの数を「主数」「副数」とよんで区別していたそうです。
「副数」のように数と数の関係を表す数は、元の量にかけてはじめて量を表すことができます。このことを意識するだけでも、算数の世界が整理されて分かりやすくなり、さらに役に立つものとなることでしょう。親子で一緒に算数の本質を楽しみ、5年生の壁を乗り越えてください。

[中牟田 宴子]
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プロフィール : 中牟田 宴子(なかむた やすこ)

家庭教育研究家。

九州大学卒業。大学では認知心理学を専攻。

大学卒業後は大手メーカーでシステムエンジニアとしてプログラムの設計と開発を担当する。その後育児期間を経て現在は、認知心理学を基に数学と科学などのつながりを学べる「算数・数学塾」を企画運営しながら家庭教育を研究。子どもたちが不思議なものに出会って驚いたり感動したりする瞬間に立ち会えるのが幸せ。

2012年より5年間東京大学大学院工学系研究科で工学教育に関わった。

NPO法人センス・オブ・ワンダーの代表を務め、東京大学工学部や研究機関と共に子どものためのサイエンスカフェなどを企画開催。

認知心理学に基づくナカムタメソッドの研究開発を行い、算数とアート、理科などが融合したコンテンツの開発と普及を行っている。



家庭だから伸ばせる子どもの才能

「算数・数学塾」の企画・運営の中で発見したことや、二児の母として子どもを育てる上で実践してきた家庭学習のヒントとその成果などをつづったブログです。

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現在、さいたま市にて開校している「さんすう大好き!」が生まれる教室、 「算数・数学塾」のWEBサイト

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