





「倍」を使ってポップコーンを作ろう!
「倍」というのは、普段の生活の中でもよくつかわれているものなので、みなさんも使ったことがあるかもしれません。3年生の算数で習う「倍」は、5年生、6年生で出てくる「比」や「割合」、「比例」にもつながっていますが、どれも数えられるようなものの数を表しているわけではないため、分かりにくいと感じる単元です。今回は未来を予測しておやつを作りながら、楽しく「倍」を学んでみましょう。
みなさんはポップコーンを作ったことがありますか? おなべやフライパンの中でポンポンとはじける様子は見ていても楽しいし、できたてのポップコーンはとてもおいしいですよね。ポップコーンは専用のコーンから作ります。
さて、この小さくてかたいコーンを熱すると、いったい何倍の体積のポップコーンになると思いますか? 2倍でしょうか? 3倍くらい? いえいえ、なんと20倍にもなるのです。(コーンの種類などによりちがってきます) ですからうっかりコーンを入れすぎてしまうと、おなべからあふれてしまうことになります。
ちょっと見たところ乾燥してからからに見えるコーンですが、この中には水分があります。水もまたふしぎなもので、水から水蒸気になる時に体積が1700倍にもなります。コーンを熱すると、閉じ込められた水が温められて水蒸気になるので、水の体積が一気に大きくなり、コーンの皮をやぶってはじけるのです。今回は、きちんと計算して、おなべからあふれない、ちょうど良い量のポップコーンを作ってみましょう。
<準備するもの>
・ふたつきの鍋(フライパンでも良いです)
・計量カップ
・コンパス
・サラダ油 大さじ1
・ポップコーン用のコーン 計算した量
・塩、こしょうなど 適量(味付けに使います)
1.コーンの量を計算しよう
例えば、ここに1.5リットルでいっぱいになるおなべがあります。あふれないように1リットル分のポップコーンを作ることにしましょう。1リットルのポップコーンを作るには、どのくらいの体積のコーンが必要か計算してみます。
ここで少し復習ですが、1リットルとはどのくらいの量だったでしょう? 牛乳パック1つ分でしたね。さらに計算しやすいように、単位をミリリットルに変換すると、1リットルは1000ミリリットルになります。コーンの量が20倍になった時に1000ミリリットルになれば良いので「□×20=1000」という式ができます。
「□=1000÷20」ですので□は50、つまり50ミリリットルのコーンがあれば良いわけです。では実際に作ってみましょう。火を使うと危険ですので必ずお家の方と一緒に作って下さいね。
2.ポップコーンを作ろう

コーンを50ミリリットル準備します。鍋にコーンを入れてサラダ油を入れ、コーンにからめます。鍋にふたをして弱めの火でゆっくり熱していきます。鍋をゆすりながらコーンがこげないように気を付けます。
ポンポンとコーンがはじけだすと、鍋のふたに水てきがついてきました。からからに見えたコーンの中に水があった証拠を発見できました。

音が静かになってはじけなくなったら、火を止めてできあがりです。塩などで味をつけてください。

3.できあがりの量をはかってみよう

計量カップでできあがりの量をはかってみましょう。予測した通りの量ができましたか?
コーンの種類などによっても何倍になるかは違ってくるので、ここできちんと何倍になったのかデータを取っておきましょう。このデータを使えば、いつでも好きな量のポップコーンを作れるようになります。
おいしいポップコーンはできたでしょうか? ポップコーン作りでは、未来にできあがるポップコーンの量を決めて、「倍」を使って今必要なコーンの量を計算することができました。「倍」を使うと、今その場にあるもの同士を分かりやすく比べることもできますが、時間を超えて未来を予測したり、未来からさかのぼって今必要な量を調べることもできるのです。学校で習った算数をどんどん使って、算数を楽しんで下さいね。
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- プロフィール : 中牟田 宴子(なかむた やすこ)
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家庭教育研究家。
九州大学卒業。大学では認知心理学を専攻。
大学卒業後は大手メーカーでシステムエンジニアとしてプログラムの設計と開発を担当する。その後育児期間を経て現在は、認知心理学を基に数学と科学などのつながりを学べる「算数・数学塾」を企画運営しながら家庭教育を研究。子どもたちが不思議なものに出会って驚いたり感動したりする瞬間に立ち会えるのが幸せ。
2012年より5年間東京大学大学院工学系研究科で工学教育に関わった。
NPO法人センス・オブ・ワンダーの代表を務め、東京大学工学部や研究機関と共に子どものためのサイエンスカフェなどを企画開催。
認知心理学に基づくナカムタメソッドの研究開発を行い、算数とアート、理科などが融合したコンテンツの開発と普及を行っている。
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