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category:進学費用
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2023.11.01

専門性の高い進路の教育費、カギは早めの1歩

専門性の高い学校の学費が必ずしも高いと決めつけることはできませんが、傾向としては、やはりお高めです。家庭では大学・専門学校までにかかる費用を見極めて、少しでも早い段階から準備を始めるようにしましょう。

予定する最終学歴までの費用を見極める

何をもって専門性が高いというのかは線引きが難しいのですが、一例としては、その職業に就くには資格が必要で、その資格を取得するための教育といったところでしょうか。

多くの場合、専門性の高い教育を受けるには、高等教育である大学院・大学・短期大学・高等専門学校・専門学校(専修学校専門課程)を目指します。芸術系だと、幼いころから専門家に師事しつつ高等教育を目指し、留学することもあります。

大学等の教育費は高校までよりも高めです。その中でも専門性の高い進路はさらに高い傾向にあり、家庭の負担もそれだけ大きくなります。

国立大学の場合、授業料は法律で標準額が定められていて、入学料は28万2,000円、年間授業料は53万5,800円です。各校の裁量で、標準額の2割まで増額してよいことになっているので、最大、入学料は33万8,400円、年間授業料は64万2,960円となります。

たとえば、東京藝術大学美術学部の場合、入学料授業料ともに標準額の2割増しで、諸経費も30万円前後かかるため、初年度納付金は日本画専攻134万1,020円、日本画以外の科や専攻は125万6,020円です。国立であっても標準額と比べるとやはり「お高め」です。

私立大学については、専攻分野別の平均額を見てみましょう。

私立大学学校納付金

グラフは、各分野の修業年限別の合計額です。医歯系が特に高額で、薬学、農学・獣医、芸術系が続くことがわかります。

また、専門学校は修業年数が2年間のコースが多いのですが、国家資格を目指すような分野だと4年間というものもあり、大学と同程度の学費がかかることもあります。

家庭での準備だけは限界があることも

現在、子どもは中学1年生だとしましょう。私立中高一貫校に在籍していて、将来は動物のお医者さんを夢見て大学は獣医学部を念頭に日々勉強にいそしんでいる・・・という状況と仮定します。

中学2年生から大学の学費を準備するための預貯金を始めようとする場合、毎月の積立額はどれくらいになるでしょうか。

私立大学獣医学部6年間の費用の平均額は約850万円(「令和3年度私立大学等の入学者に係る学生納付金平均額」にて計算)です。入学までの5年間で全額を貯めようとすると、1年間あたり170万円、1か月あたり14万1,700円の積立となります(利息と税金は考慮しない)。

子どもの誕生から児童手当を含む毎月3万円を積み立て、いただいたお祝いなどすべてを貯めてきて、すでに450万円は準備済みという場合はどうでしょう。残り400万円を5年間で貯めるには、年間80万円、1か月あたり6万6,700円の積立が必要です。

いずれにしても、現在通っている私立中学校の学費を支払いながら、大学用の教育資金として毎月14万円や7万円近くの金額を積み立てるというのは簡単ではないはずです。

時間を味方につけてコツコツ貯めることは大切なことですが、それだけでは間に合わないケースもあるということです。

優先順位を親子で考える

教育資金が十分でない場合、不足分を補う方法として、お金をもらったり借りたりする方法があります。祖父母に援助してもらったり、奨学金をもらったり借りたり、教育ローンを利用したりということです。

これらを利用する順番は、まず「もらう」、次に金利の無い・低いものから「借りる」ことです。受け取ったお金に対して、返済額が少ない順番で利用するということです。

大学や専門学校の学費を援助するものとして「高等教育の修学支援新制度」がありますが、これは住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯の学生が対象なので、該当しない家庭はアテにできません。

もらう奨学金や学費減免の対象には、学生本人の成績が問われることが多いので、成績を上げることも大切です。成績と費用の関係については、子どもにも伝えていきましょう。中学生であれば理解できると思いますし、最初は単純に制度の説明だけでもいいと思います。

また、同じ資格を取得できる国公立大学と私立大学がある場合、修業年限の4~6年間の満足度の差はあるとしても、費用面からは国公立を選択するのも一考です。学費が高い私立大学のおしゃれなキャンパスを見学する前に、家庭で準備できる金額と学費の関係、施設設備費とおしゃれなキャンパスの関係についても親子で話をしておくといいですね。保護者が負担できる教育費には限度があることも早めに子どもに伝えるようにします。

高等教育を受けることそのこと自体が目的なのではなく、子どもの人生にとって必要な学びが無理のない経済的負担で得られる道を選ぶにはどうすればいいのかを考えるようにしてください。



国立大学等の授業料その他の費用に関する省令
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416M60000080016

東京藝術大学 入学金・授業料等
https://www.geidai.ac.jp/life/entrance_fee

私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1412031_00004.htm

[菅原 直子]
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プロフィール : 菅原 直子(すがわら なおこ)

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、教育資金コンサルタント

会計事務所向けオフコン販売、外資系生命保険会社勤務・同代理店経営を経て、1997年よりファイナンシャル・プランナー。公私立高校や自治体などで保護者・生徒・教員のための進学資金セミナーおよびライフプラン講座・相談会は関東を中心に10年以上にわたって300回超。新聞や雑誌への取材協力や執筆、働けない子どもに関する家計の相談も行う。地元湘南地域密着のFP活動も展開中。3男子の母。

■著書

共著『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)

『子どもの教育費これだけかかります』(日労研)


■所属団体

日本ファイナンシャル・プランナーズ協会

子どもにかけるお金を考える会

働けない子どものお金を考える会

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