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category:進学費用
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2022.07.01

小遣いは失敗体験込みで自立への一歩

小遣いは子どもの生活費

小遣いは、子どもがどのように使うのも自由としている家庭が多いのではないでしょうか。そのようなやり方が正しいのか誤っているのか、正解はありません。ただ、進学費用の相談を寄せる高校生とお金の話をして感じるのは、ある程度、保護者が小遣いのやりくりにかかわった方が子どもは安心感を持ってお金と付き合えているらしいということです。

子どもに渡してしまった小遣いは、子ども自身が使う権利を持ち、保護者が口出しできないものと決めてかかってはいないでしょうか。確かに、使ってしまったお金について、「そんなくだらないものを買って!」とか「また無駄遣いして!」という口出しは、子どもに嫌がられますし、好ましくありません。保護者の一方的な意見を押し付けているだけだからです。

小遣いは、保護者が自分の大切な収入から、家族の一員である子どもに「あなたの裁量に任せるからね」と渡すお金のことです。渡しているのは、子どもの力で管理できる範囲の金額のはずです。

この「子どもの力で管理できる範囲」を保護者は無意識のうちに計算して、わが家の場合は中学生に3,000円、高校生は5,000円などと決めていくのですが、この無意識を表に出してみることをお勧めします。

「子どもが管理できる」から始めて「子どもに管理させたい」金額へとバージョンアップしていくのです。いずれ子どもが親元を離れて自立した時に、子どもが自身のお金すべてをきちんと管理できる力を身につけることを目指すためです。

自立した時に管理するのは生活費全般です。その練習なのですから、小遣いは子どもの生活費という位置づけで考えるといいでしょう。

子どもの生活費って何?

子ども自身が食材を買ってきて、自分一人の食費を管理するということではありません。管理できる・管理させたい範囲を親子で決めればいいだけのことです。

たとえば、文房具類や毎月の通信費から始めて、うまく管理できるようになってきたら、スマートフォン代や部費、制服のシャツや靴下を含めていってもいいでしょう。

絶対に必要となるモノやコトにかかるお金と、お楽しみに使っていいお金を組み合わせるのが、やりくりの練習につながります。できるだけ正確に見積もった必要となる金額に、大人と同じように「あるといいな、使えるといいな」という自由に使える金額をある程度上乗せします。

親元だからこそ体験できる失敗

必要なモノよりも先に欲しいモノを買ってしまった結果、必要なモノを買うお金が足りないということは大人にも起こります。不足分を貯蓄から捻出できれば問題ありませんが、貯蓄がなければどうするのか──。

そのような失敗は、親元にいるうちに体験させてやりたいものです。

1か月分の小遣いを欲しいモノに使ってしまって、小遣いで払う約束だった授業用のノートを買えなければ自分が困ってしまいます。どれだけ不都合であるかを身を持って知れば、お金は計画的に使わないとまずいということを学べます。

授業に支障が出るようなら保護者も心配ですから、実際のところは保護者のお金でノートを買ってやることでしょう。立て替えてやるわけです。そして、立て替えた金額は翌月以降の小遣いを前借りさせた形にするのです。前借り分が多ければ、分割にしてもいいでしょう。

保護者にしてみると、子どもの失敗に付き合うのは面倒なものです。けれど、お金との付き合い方、やりくりの仕方は学校で教わるようなものではありません。保護者が家庭で伝えるしかないのですから、日々の生活の中で教えていく必要があります。

大人になって、いきなり数十万円・数百万円単位の失敗をして後悔したり、親が援助する羽目に陥るのに比べて、小遣いの範囲の失敗なら被害はたいしたことはありません。失敗ありきで小遣い制度をとおして、子どもにうまくお金を使うための知恵を教えていきましょう。

都度払い、保護者が管理できないと教育資金にも影響が

小遣いを子どもの生活費とするのなら、小遣いを渡す頻度は「定期」がいいでしょう。買い物の度に子どもから要求される金額を渡す「都度払い」では、やりくりを学ぶことは難しいからです。

都度払いで小遣いを渡す・もらっているという親子と話した際は、親子で顔を見合わせて、1か月あたりの小遣い額を「知らない・わからない」と苦笑いしていました。保護者は家計も把握できておらず、子どもの進学費用計画はないも同然でした。

子どもの小遣いに向き合うと、家計にも目を向けざるを得ません。家計の中から子どもの小遣いとして渡していい金額も計算する必要があるのですから。少々面倒ではありますが、子どもの将来のためにちょっとがんばってみてはいかがでしょう。

[菅原 直子]
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プロフィール : 菅原 直子(すがわら なおこ)

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、教育資金コンサルタント

会計事務所向けオフコン販売、外資系生命保険会社勤務・同代理店経営を経て、1997年よりファイナンシャル・プランナー。公私立高校や自治体などで保護者・生徒・教員のための進学資金セミナーおよびライフプラン講座・相談会は関東を中心に10年以上にわたって300回超。新聞や雑誌への取材協力や執筆、働けない子どもに関する家計の相談も行う。地元湘南地域密着のFP活動も展開中。3男子の母。

■著書

共著『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)

『子どもの教育費これだけかかります』(日労研)


■所属団体

日本ファイナンシャル・プランナーズ協会

子どもにかけるお金を考える会

働けない子どものお金を考える会

インフォメーション

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