





教育費、どうやって貯める?大学進学に向けた上手な資金準備のコツ
教育資金は、住宅資金、老後資金と並んで「人生の3大資金」ともいわれています。しかし、この3つの中で「教育資金」は必要なタイミングや金額が比較的明確なため、最も計画がたてやすい、あらかじめ予測できる支出です。将来のライフイベントを考えて、計画的に備えることで、進学の際にも焦ることなく対応できます。
ここでは、特にまとまったお金が必要な大学資金の準備に焦点を当て、教育費用と貯め方について解説します。
教育資金準備の基本
まずは、ご家庭の教育方針について考え、お子様の教育費が「いつ」「いくら」かかるのかを予測してみましょう。「中学受験はするのか?」「高校は公立か私立か?」「大学は文系か理系か?」などによって、かかる費用は大きく異なります。一般的に高校まで公立の学校に進学する場合は、金銭的な負担が比較的少ないため、教育費は日々の家計からやりくりすることが可能なケースが多いです。ただし、私立中学・高校を目指す場合はより大きな資金が必要になるため、別途準備しておくことが望ましいでしょう。
高校は2025年度から所得制限が撤廃され、就学支援金がすべての世帯に支給されるようになりました。2026年度からは、私立高校に対しても年額45万7,000円の支援が始まり、実質無償化が一層進む予定です。
ただし、授業料以外にも費用がかかる点には注意が必要です。たとえば、施設費や後援会費、修学旅行、パソコン購入費、クラブ活動のユニフォームや合宿費用などが挙げられ、公立・私立を問わず10万円以上の支出が発生する可能性があります。事前に学校のホームページなどで確認しておくと安心です。
【お子様1人当たりの教育資金】
参考:文部科学省 子供の学習費調査
調査結果の概要
参考:文部科学省
令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等 平均額(定員1人当たり)の調査結果について
国公私立大学の授業料等の推移
大学や専門学校に進む場合は、まとまったお金が必要になります。必要額と準備方法について整理しましょう。
大学進学にかかるお金
大学の初年度にかかるお金の平均額は、文科系学部で約119万円、理科系学部で約153万円となっています。医歯系学部は約482万円、芸術系学部は約164万円となっています。2年目以降は、入学金を除いた合計額がかかりますので、最も低い文科系学部でも、4年間通った場合の合計額は約411万円になります。
【私立大学の初年度にかかる納付金額】
参考:文部科学省
私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について
大学資金を準備する3つの方法
①定期的に積立する
銀行の積立定期預金などで自動的にたまる仕組みを作ります。例えば、児童手当10,000円を使わずに10年貯めると、120万円貯まります。
10,000円×12か月×10年=120万円
逆に、理科系学部に進学するために、初年度費用である約153万円を10年間で貯めたい場合、目標積立額を逆算します。
153万円÷10年÷12か月=12,750円
このように、毎月、12,750円ずつ貯めれば、10年後に目標額を貯めることができます。まとまったお金を、短時間で準備するのは難しいです。「いつまでに、いくら必要か?」を予測し、逆算して貯める仕組みを作りましょう。
②学資保険、こども保険の活用
学資保険(こども保険)とは、教育資金を準備することを目的とした貯蓄性のある保険です。大学や高校などへの進学のタイミング等、契約時に決めた時期に、お祝金や満期保険金を受け取ることができます。保険であるため、契約者(通常は親)に万が一のことがあった場合でも、以後の保険料支払いが免除され、予定どおり満期金や祝金を受け取れる保障機能があります。
③つみたてNISAを活用する
お子様が10歳未満など、大学進学までに時間がある場合は、つみたてNISAで運用しながら準備する選択肢もあります。投資ですので元本の保証はありませんが、時間を味方につけることで投資のリスクを軽減し、効率よく資金を増やすことができる可能性があります。
初期費用に注意しよう
大学資金準備において、特に気をつけたいのが「初期費用(入学金、施設費、前期の授業料等)」を準備する時期です。この「初期費用」は、合格通知を受け取ってから10日から2週間以内に支払期日が到来します。最近は受験方法が多様化し「総合型選抜」や「推薦型選抜」で進学する人も増えています。その場合、10月から12月頃に進学先が決まるのが一般的ですので、そのタイミングで支払いが必要になります。高校3年生の夏頃までには、キャッシュで準備しておきたいですね。
「指定校推薦」で合格したのに、初期費用が支払えず合格が取り消しになるという事例もよく耳にします。受験する大学、受験方法に合わせて資金準備計画を立てるようにしましょう。また、奨学金を検討するご家庭も多いですが、奨学金が振り込まれるのは入学後です。原則、入学前に必要な初期費用の支払いには間に合いません。奨学金はあくまで補助的な手段として考えましょう。
まとめ
教育費は「見える化」と「早めの対策」が大切です。進学に必要な費用を逆算し、早めに準備を始めましょう。「大学で何を学びたいのか?」「卒業後はどんな仕事がしたいのか?」大学や学部等、進学先の選択によって、必要な費用は異なります。
そして「そもそも何のために進学をするのか?」将来のキャリアについて親子でしっかり話し合うことが、教育資金準備の大事な一歩です。
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- プロフィール : 合田 菜実子(ごうだ なみこ)
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ファイナンシャルプランナー(CFP® 1級FP技能士) 国家資格キャリアコンサルタント 和光大学特任准教授 スカラシップアドバイザー(日本学生支援機構) 日本FP協会パーソナルファイナンスインストラクター 基礎心理カウンセラー
子育て期間中にファイナンシャルプランナー資格を取得。現在は、お金とキャリア教育の専門家(マネキャリサポーター®)として、若者たちの豊かな未来のために「金融経済教育」に積極的に取り組んでいる。金融庁関連、日本FP協会主催セミナーの他、大学や小中高校におけるお金の授業、高校での教育資金準備講座など講演多数。著書は『教えて合田先生!18歳までに知っておきたいお金の授業』(C&R研究所) 『子育て主婦が知っておきたいお金の話(経法ビジネス出版)』『小学生でもわかる、お金にまつわるそもそも事典』(C&R研究所 共著)など。
JFLEC (金融経済教育推進機構)認定アドバイザー
アドバイザー紹介ページ
日本FP協会パーソナルファイナンスインストラクター
https://www.jafp.or.jp/personal_finance/high/inst_disp/
和光大学特任准教授
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