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category:進学費用
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2023.07.03

専門性の高い進路に進むときには教育費の計画的な準備を忘れずに!

2023年度は、これまで中止されていた文化祭やオープンキャンパスなどさまざまなイベントが解禁されることが予測されます。「医者になりたい」「薬剤師になりたい」「ものづくりをしたい」など専門性の高い進路を考えている場合には、ぜひ親子で参加し、どこに進学するか、それには「いくらくらい」これから教育費を準備すればいいのかを一緒に考えてみましょう。

今回は、専門性の高い進路に進むときの教育費の準備方法を考えます。

学部ごとに授業料以外の費用は要注目!

大学の学費に含まれるのは、まず「入学金」と「授業料」です。国公立の場合には、通常学部ごとの違いはありません。国立大学の標準額としては、入学金28万2,000円、1年間の授業料は53万5,800円です(出所:文部科学省「国立大学と私立大学の授業料等の推移」)。私立大学に進学した場合の「施設設備費」などのように学部別にプラスされる費用はありません。

こう考えると、教育費の準備として一番安くなるのは、自宅から通える国公立大学に進学した場合なのは当然のことです。ただ、進路を一つに絞ることは、今後の成績の伸びがどうなるのかわからないことから、とても危険な考え方です。

専門性の高い進路を選ぶときには、「遠方の国公立も進学先の候補となりえるのか」「自宅から通える私立大学の施設設備費はいくらなのか」「大学は4年か、それとも修士や博士課程も選択肢となりえるのか」「国家資格の取得が必須の進路の場合、大学の学費以外の費用はいくらくらいなのか」を調べておくことがとても大切です。

学費以外の費用に注目しながら進路を検討することがポイント

前段で、入学金と授業料以外の「施設設備費」について触れましたが、同じ理系でも実験のない「数学科」などは安かったりするものの、実験や実習を伴う学部については、かなり高く感じることでしょう。

あくまで平均ですが、私立大学の理系学部の施設設備費は179,159円で、入学金・授業料を含んだ初年度納付金は合計1,566,262円。医歯系学部の施設設備費は931,367円で、入学金・授業料を含んだ初年度納付金は4,890,539円、その他学部の施設設備費は235,702円で、入学金・授業料を含んだ初年度納付金は1,459,612円となっています(いずれの金額も、文部科学省「令和3年度私立大学入学者にかかる初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」から抜粋)。

教育費を考えるときには、学費だけでなく学費以外の費用である施設設備費に注目し、自宅以外から通学する遠方の国公立も選択肢として、家から仕送りを「いくらくらい」できるのか、大学卒業後は、さらに2年進学費用がかかるということも視野に入れて準備することが必要です。理系で通学中の大学からそのまま大学院に進学をしても「入学金」はかかります。このように、専門性の高い進路を考えている場合、どこでどのくらいまで親が出せるのかを考えておかないと、受験時期に家計が自転車操業となり、親の老後資金の準備にまで影響が及ぶこととなるのです。

注目すべきポイントは、「施設設備費」と「学部卒業後の大学院進学」「自宅以外から通学する場合の仕送り」「国家資格取得のための学費以外の教育費」です。

今からすぐにできること

親としては「手に職をつけておいたほうがいいよ」という言葉を一度は子どもに言ったことがあるかもしれませんが、手に職をつけることはただではありません。異次元の少子化対策として政府の方針は出ていますので、児童手当の拡充など、今後期待できる部分はありますが、それでも親の負担は無くなりません。今後は少しでも教育費の準備のために、児童手当など行政から支援される給付については、手を付けずに貯蓄するようにしましょう。

また、子どもが一人っ子でない場合、兄弟個別の口座管理に切り替えましょう。月々15,000円の児童手当をそのまま世帯主の口座に、人数分入れっぱなしという方もいるかもしれませんが、年3回、2月・6月・10月に振り込まれるときにはまとまった金額になっているはずです。子どもそれぞれの口座に振り分けてあげましょう。

複数の子どものうち、一人でも専門性の高い進路を選んだときには、兄弟間で公平を期することは困難です。他の子どもの教育費まで不足することを避けるためには、しっかりと「教育費の総額」とそのうち「奨学金など頼れる部分(参考:文部科学省「高等教育の修学支援新制度」)」と「親が支援できる部分」を計算して、親子で共有しておくことをできるだけ早い時期にするのがいいでしょう。

[當舎 緑]
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プロフィール : 當舎 緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP®

一男二女の母。阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。得意テーマは、教育資金の準備方法、社会保険の仕組み、エンディングノートの作り方、これから始めるやさしい終活、成年後見の活用方法、銀行を介さない家族信託の仕組みなど。著書は、『3級FP過去問題集』(金融ブックス)『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)など。

子どもにかけるお金を考える会メンバー

http://childmoney.grupo.jp/

一般社団法人かながわFP生活相談センター理事

http://kanagawafpsoudan.jimdo.com/

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