キャッシュレス化で中学・高校生のお小遣いやお年玉の管理はどうなる?
中学・高校生になると、通学や部活動などで行動範囲が広がります。交通費や飲食費などもかかるようになりますが、その支払い手段としてキャッシュレスも一般的になって来ました。そこで今回は、中高生が使うお金と管理のしかたについて考えてみましょう。
子どものお小遣いのキャッシュレス化はどの程度進んでいる?
2022年1月に実施された「ソフトバンク社員のキャッシュレス実態調査」によると、子どもへのお小遣いをキャッシュレスにしている人は17.4%。検討中の10.4%を合わせると、前向きな人は4分の1強という結果です(グラフ1)。キャッシュレスのお小遣いを使い始めた子供の年齢は幅広いながらも、高校進学、中学進学辺りの年齢が1つのきっかけになっているようです(グラフ2)。
現金以外の支払い手段も多様化しているので、子どもお小遣いとは言え、これまで以上に「お金を管理する力」が重要になります。
(グラフ1)
(グラフ2)
交通系ICカードの電子マネーは、子どものお小遣いと親和性が高い
子どもが使える一般的な支払い手段は、現金か電子マネーになります。子どものお小遣いで始めやすいのは、交通系ICカードでしょう。電子マネーはICカードにあらかじめ現金(価値)をチャージするので、サイフに入れたお小遣いとかなり感覚が近いと言えます。
きっかけとしては、お稽古事や通塾のために保護者が持たせ、高校生くらいになってICカードに通学定期券機能を付けて利用するというパターンです。チャージした金額で通学区間外の運賃の支払いや、コンビニなどでの買い物ができるので、便利に使えます。
下表は現金と交通系ICカードの特徴をまとめたものです。交通系ICカードのメリットは、スムーズな支払いに加え、子どもの場合は安全面への配慮があります。子ども用は原則記名式なので、もしカードを落としたとしても、手元に戻ることが期待できそうです。
デメリットは、「お金を支払う実感が少ない」「すべての支払いがICカードのみで対応できない」などが挙げられます。使い過ぎて残高不足にならないよう、初めのうちは声掛けのフォローしましょう。
現金 | 交通系ICカード | |
---|---|---|
持ち運び | 必要に応じて持ち運ぶ金額を変えられる | チャージ残額を1枚のカードで持ち運ぶ |
お金の増減 | 支払いやおつりの受け渡しがある | 支払いは表示された金額を確認する |
公共交通機関での利用 | 乗り換えや支払いに手間取る | 乗り換えや支払いがスムーズ |
利用範囲 | どこでも何でも購入できる | 端末のある交通機関や店舗で利用できる |
紛失リスク | 紛失しても誰の物かわからない | 記名式であれば手元に戻る可能性が増す |
お小遣いは年齢や学年ではなく「何を任せるか」で決める
お小遣いの意義は、子どものお金の管理能力を高めることにあります。保護者世代のお小遣いは、現金のみだったという方が多いと思いますが、これからは現金と電子マネーの組み合わせという、より高い管理能力が必要になってきます。
地域性や子どもの行動範囲を考慮しながら、文具代などの「必要経費」、「自由裁量で使えるお金」、欲しいものを手に入れるための「貯蓄」など、使用目的と金額を告げて任せてみましょう。任せる範囲は、通学以外の交通費、文具・書籍(メディア)代、ヘアカット代、部活・お稽古事関連費、ペットの餌代等など、各家庭の事情に合わせてください。親子でよく話し合って決めることで、信頼の絆も深まりやすくなります。
年齢や学年でお小遣い額を決めるというご家庭もありますが、これは事実上の「自由裁量のお金」になりがちです。管理する力は、支出に優先順位をつけて赤字にならないようやくりをすることで、身につくものと考えます。成人してクレジットカードが持てるようになると、「見えないお金」の管理はさらに複雑になります。収入に見合った持続可能な支出ができるよう、今からお金の管理の能力を磨いていきましょう。
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