進学費用を貯めるためには無理のない目標設定で確実に積み上げていく
保護者は子どもの未来のために大きめの目標設定をしがちです。
わが子の未来を手助けしてやりたい気持ちは大切ですが、月々の目標クリアに苦戦すると途中リタイアにつながることも。
現実的な目標も設定しましょう。
理想のゴールに向けて現実的なミニ目標を設定する
子どもの進路によって用意すべき金額は異なります。例えば子どもが私立大学への進学を希望していれば、私立大学4年間の平均的な学費である500万円程度以上を用意しておきたいと考えることは不思議ではありません。
現在、子どもが中学1年生の冬で、大学入学までに丸5年間あり、手元には100万円の大学用の教育資金があるとします。500万円のゴールに向けて毎月貯めるべき金額の計算は次のようになります。
(ゴール金額-手元資金)÷積立可能月数
=(500万円-100万円)÷(5年×12か月)
=400万円÷60か月
=6万6,667円
毎月6万6,667円を貯めていけば高校卒業までに500万円を用意できることがわかります。
さて、現在の家計で、毎月7万円近くの預貯金は可能でしょうか。
難しければ、目標設定を工夫しましょう。
第1目標は私立大学4年間分の平均費用500万円ですが、難しい場合には、3年間分ならできるだろうか、2年間分はどうだろうかという風に、段階を踏んで複数の目標を設定するのです。
入学手続きに必要な金額△△万円、初年度納付金□□万円、2年間分の費用○○万円と小さめの目標であれば、毎月の積立額も比例して小さくすることができます。そうすれば、7万円の預貯金は難しい場合でも4万円なら少し頑張れば可能、3万円なら確実に貯められるという風にならないでしょうか。
第1目標に手が届かないことで、預貯金する気持ちそのものを失くしてしまうことは避けたいものです。クリアできそうな目標も作って、確実に進学資金を用意していきましょう。
子どもが1歳でも小さいうちの先取り貯蓄を
現在の家計を確認して、毎月預貯金できる額は○万円と計算できたとしても、大学や専門学校への入学までずっと同じ金額を貯め続けられるとは限りません。
一般的に、子どもの成長とともに基本生活費は増えますし、教育費もかかっていくものです。半面、保護者の収入は必ずしも支出に比例して増えていくわけではありません。つまり、収入は限られているのに、支出が増えて預貯金をしづらい状況になっていく場合が多いのです。
子どもが小学生のうちは、食費や被服費などもそれほどかかりませんから、何となく家計に余裕を感じて習い事を複数かけもちしながらも預貯金が可能という家庭も少なくないはずです。
でも、子どもが中学生や高校生になれば家計も変化するということは想像できるはずですから、気持ちと財布を引き締め、子どもが小さいうちから多めに預貯金するようにしましょう。
目標クリアできずとも目標に近づく努力を
毎月の預貯金目標を設定しても、特別な支出が生じて計画どおりに預貯金することが難しくなることは誰にでもあります。
でも、あっさりと目標クリアをあきらめてはいけません。
今月は3万円を預貯金する計画であったところ、2万5,000円の思いがけない出費があって預貯金計画が実行できない状態になっても、5,000円は必ず貯めるようにします。また、思いがけない出費に対しては他の支出をいつも以上に見直して、あと2,000円、あと3,000円を積み増しするように心がけましょう。
来月はパート時間を増やして収入を増やせばいいとか、ボーナスで預貯金額を補てんしようと考える前に、いつもの収入の範囲での努力を頑張ってみることが大切です。
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- プロフィール : 菅原 直子(すがわら なおこ)
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ファイナンシャル・プランナー(AFP)、教育資金コンサルタント
会計事務所向けオフコン販売、外資系生命保険会社勤務・同代理店経営を経て、1997年よりファイナンシャル・プランナー。公私立高校や自治体などで保護者・生徒・教員のための進学資金セミナーおよびライフプラン講座・相談会は関東を中心に10年以上にわたって300回超。新聞や雑誌への取材協力や執筆、働けない子どもに関する家計の相談も行う。地元湘南地域密着のFP活動も展開中。3男子の母。
■著書
共著『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)
『子どもの教育費これだけかかります』(日労研)
■所属団体
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
子どもにかけるお金を考える会
働けない子どものお金を考える会