子どもの進学費用―「貯められない」から抜け出す4つのステップ
STEP1 子どものための貯蓄の目標額を決める
子どもの進学のための蓄えは月平均1万5,690円
ソニー生命「子どもの教育資金に関する調査2022」によると、進学費用のために月々蓄えている金額は、子ども1人あたり平均1万5,690円となっています。平均を上回る2万円台が18.8%、3万円以上も16.9%あり、35.7%の人が子ども1人につき月2万円以上の貯蓄をしているという結果でした。とはいえ、全く蓄えていない「0円」回答も29.1%あり、二極化している印象です。
子どもが誕生した時から教育資金の準備を始めているなら、高校卒業までに400~500万円が1つの目安額になります。そうでない場合は、ひとまず100万円を貯めることを目標にしてみましょう。
貯められない原因は2通り考えられます。1つは経済的に全くゆとりがない場合、そしてもう1つは家計にあまり計画性がない場合です。生活が厳しい場合は、少しでも収入を増やす手立てを考える一方、住居費や通信費など「固定」と思われる費用でも大胆にカットすることが必要です。
そこまでではなく、浪費をしているつもりはないのに貯められない場合は、一定の貯蓄ができるように家計に計画性を持たせる、つまり予算を立てることが大切です。
STEP2 お金を貯めるシステムを作る
まずは自動引き落としで積み立てを始める
気づくと生活費がなくなってしまう人は「貯めるシステム」ができていないことが多いので、強制的に貯蓄ができる金融機関の自動引き落としを利用して、積み立てを始めることをお勧めします。
教育費の積み立て原資は、やはり児童手当でしょう。所得制限内であれば中学生(第1子・第2子)は、1万円です。これを入金先の保護者の口座で生活費の一部にしないことが大切。「貯める」口座を別に用意して児童手当の入金先を変えるか、積立商品を利用して自動引き落としで積み立てるなど、分けて管理をしましょう。
月1万円でも1年経てば12万円は確実に貯められます。児童手当1万円に5000円をプラスして自動引き落としで積み立てると、年間18万円。中学・高校の6年間で実行すれば、100万円以上が貯められます。
STEP3 イレギュラー支出は別に準備する
月々の基本生活費、年単位で必要な費用を把握する
貯めるシステムができたら、使うシステムについても考えてみましょう。生活費が足りなくなってしまう原因の1つに、イレギュラーな費用の準備ができていないことがあります。固定資産税や自動車税などの税金、年払いの保険料や会費、お祝いなどの交際費、家具・家電の購入費などです。
イレギュラー費用はあらかじめ見積もり、ボーナスや臨時収入を充てるなどの心づもりがあれば、月の生活費は安定するでしょう。
STEP4 シンプルに管理する
支払い手段を管理できる範囲に絞る
近年キャッシュレス化が進み、クレジットカード、ICカード、QRコードなど支払い時の決済手段が多様になりました。経済産業省の調査(キャッシュレス決済比率:2021年)によると、2021年のキャッシュレス決済比率は32.5%。内訳はクレジットカードが27.7%でトップ、電子マネー2.0%、コード決済1.8%、デビットカード0.92%となっています。
ただ、ここで注意したいのは、管理の仕方です。キャッシュレス決済は、「現金を持たなくてよい」「ポイントが貯まる」などのメリットがある一方で、「ついで買いをしてしまう」「月の収支が把握しづらい」などのデメリットもあります。
日常的に買い物をするスーパーなどの小売店、交通手段、ネットショッピングなど、キャッシュレス決済を使用する場面はいろいろありますが、決済手段を持ち過ぎるのも貯められない原因になることがあります。
「貯められない」から抜けるためには、ひと月でいくら使ったのかを把握できるように、管理可能な範囲のツールにとどめるほうがよいかもしれません。
例えば、月の家計を主に現金で管理したい場合は、ICカードは現金でチャージし、クレジットカードで使った分を現金で引き落とし口座に補充しておくと、手元の残高で使った金額を把握できます。クレジットカードを中心に管理する場合は、カードを生活費分とそれ以外(趣味娯楽など)に分けて使い、予算オーバーしないように記録を取りましょう。
貯蓄が計画通り進むようになれば、ポイントが貯めやすいお得な方法を試してみるのもよいかもしれません。
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