進学費用を先取り貯蓄できるように家計を見直そう
子どもの成長とともに、貯蓄は難しくなると心得る
子どもの成長とともに、子育て支出は増えていくものです。幼児教育の無償化や医療費助成などの子育て支援があったとしても、食費などの基本的な子育て費用が劇的に減るわけではないからです。
子育て費用の増加に正比例して保護者の収入も増えればいいのですが、そうはいきません。結果的に、子どもの成長とともに貯蓄は難しくなっていきます。
いったん始めた習い事や学習塾の費用などは、少しだけ節約するということは難しいものです。月謝が5千円だとしたら、継続中の支出は5千円で、やめれば0円、その中間はありません。やめない限り、節約はできないことになります。
支出を減らせなければ、当然、貯蓄はできません。
貯蓄は先取りをルール化する
収入から、生活費や子ども費を支出し、残ったお金を貯めようとするやりくりでは、貯蓄はできないと思った方がいいでしょう。
「収入-支出=貯蓄」は、案外難しいものです。その月特有の事情がいずれかの費目で発生して予算オーバーすると、その特別な支出増加を認める代わりに、他の支出をがまんするという具体策を考え出さなくてはなりません。具体策を考えるのも実施するのもまた簡単ではなく、結果的に今月の貯蓄をあきらめて、来月2か月分頑張ろうと考えたりします。
でも、1か月貯蓄できなかった人が、翌月2か月分貯蓄するのは現実的ではありません。
貯蓄するには、「支出した残りを貯蓄する」のではなく、最初に貯蓄を意識することが大切です。
「収入-貯蓄=支出していい金額」とするのです。
時間を味方につける
子どもの教育費のうち、大学進学時にかかる費用が一番高額になります(私立小学校除く)。相対的に学費が安いと言われる国公立大学であってもです。そのため、その年の収入から入学金や学費を支払うのは難しく、あらかじめ準備しておくことが必要になるのです。
準備額は子どもの進路によって差がありますが、貯められる時間はみな同じです。生まれてから大学入学までの期間は、17~18年。目標額に対して、貯める期間が長いほど、1か月あたりの先取り貯蓄額は小さくて済みます。
今、大学進学に向けて私立大学文系の4年間の費用目安500万円を準備しようとしている場合、お子さんが小学校4年生で手元に200万円の貯蓄がすでにあるなら、貯めるべきは300万円。大学進学までに8年という時間があるので、毎月の先取り貯蓄額は次のようになります。
300万円÷(8年×12か月)=3万1250円
先取り貯蓄の開始を2年先送りして中学入学と同時に開始すると、貯められる時間は6年間となり、毎月の貯蓄額は次になります。
300万円÷(6年×12か月)=約4万1700円
2年先送りしてしまうと、毎月の貯蓄額は1万円以上増えることになります。子どもの成長とともに生活費がかさむことは前述のとおり。
子どもが1歳でも小さいうちから、先取り貯蓄を開始し、残ったお金で生活する習慣をつけることが、毎月の負担感を減らすことにつながります。
見直したい支出
保護者の万一に備えて生命保険に加入することは大切なことです。けれど、どうしても先取り貯蓄ができない場合、生命保険の内容を確認してみてください。
死亡保障は高額な方が安心感がありますが、手厚すぎる場合は、適切な保障内容にスリム化することで、支払保険料を減らせる可能性があります。
また、家族全員分の携帯電話と自宅のインターネット回線(wi-fiなど)の費用も要チェックです。以前に比べて通信量に応じた支払額は安くなる傾向にありますが、使い方そのものを見直して、毎月数千円を減額できるケースも見受けられます。
節約できた分は、ご褒美として外食費などに回すのではなく、しっかり進学資金用の貯蓄に繰り入れましょう。
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- プロフィール : 菅原 直子(すがわら なおこ)
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ファイナンシャル・プランナー(AFP)、教育資金コンサルタント
会計事務所向けオフコン販売、外資系生命保険会社勤務・同代理店経営を経て、1997年よりファイナンシャル・プランナー。公私立高校や自治体などで保護者・生徒・教員のための進学資金セミナーおよびライフプラン講座・相談会は関東を中心に10年以上にわたって300回超。新聞や雑誌への取材協力や執筆、働けない子どもに関する家計の相談も行う。地元湘南地域密着のFP活動も展開中。3男子の母。
■著書
共著『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)
『子どもの教育費これだけかかります』(日労研)
■所属団体
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
子どもにかけるお金を考える会
働けない子どものお金を考える会