英語や塾など学費以外の教育費も侮れない!
教育費を聖域にしていないかチェック
「子どもの将来に良かれと思って、教育費を家計の聖域にしている家庭は少なくありません。教育費が大切な支出であることに反対する人はいないでしょうし、そのつもりはなくても見直す機会がないまま結果的に聖域になっているケースもあると思われます。
先月も今月も、毎月の家計が赤字になっていなければ、教育費を見直す必要性を感じないのは当然です。ただ、基本生活費や教育費は、子どもの成長とともに増えていくのが一般的です。保護者の収入が支出に比例して増える保証はありません。つまり、今は黒字の家計であっても、将来、赤字になる可能性があるのです。
公立校では学習塾費は右肩上がり
学校納付金、いわゆる学費の節約は保護者が簡単にできるものではありません。一方、学校外の費用である塾代や習い事については、保護者と子どもの通いたい・習いたいという意思が反映された支出ですから、自分たちで見直すことが可能です。
学校外活動費は、家庭内学習費や学習塾費、芸術文化活動やスポーツ・レクリエーション活動費などに分類された調査がありますが、学年ごとの学習塾費を次のグラフで見てみましょう。
グラフの支出金額は、調査対象になった家庭すべてが支出した金額の平均値ではありません。実際に子どもを塾に通わせている家庭だけの支出平均額になっています。つまり、塾に通わせていない家庭の負担額はゼロ円で、通わせている家庭が負担する平均がグラフの金額なのです。
学習塾代、通わせている家庭の負担は「平均額」の2倍になる学年も
公立小学校の6年生の場合、通塾している家庭の支出平均額は約18万7,000円。支出していない家庭も含んだ平均額は約9万7,000円ですから、その差は年間9万円になります。
公立中学校の3年生では総平均と通わせている家庭だけの平均は縮まります。総平均約31万円に対し、通わせている家庭だけの平均は約39万円。これは小学校6年生の通塾割合が51.6%であるのに対し、中学校3年生では79.8%と通塾している割合が高くなっていることが理由です。
英語は小学校5年生から始まっている
保護者世代は中学校になってから英語の授業が始まりましたが、今は小学校3年生で英語に親しむ時間が設けられ、5年生からは教科になっています。大学入試において「英語」が重視されていることもあり、小学生のうちから英語を習いに行こうと考える親子もいることでしょう。
小学生の場合、これまでの学習塾は国語と算数を中心に学ぶことが多かったと思われますが、そこに英語が加わることで費用負担がかさむ可能性が出てきます。
1か月あたりの費用が3,000円増と仮定した場合、3年生から6年生まで14万4,000円の支出が増えることになります。
子どもが英語を学ぶ楽しさに目覚めることはいいことですが、英語検定などを受ける費用やそれに伴う交通費負担も増えていきます。
教育費は時間軸を意識する
教育費の負担は子どもの成長とともに上がる傾向があります。今年、来年、再来年と、大学や専門学校を卒業するまでの各年の教育費がどれくらいかかるのか、ぜひ一覧表にしてみてください。
今年までは楽に支払えていた教育費が、数年後には家計の重荷になることが見えるかもしれません。
将来、絶対に払わなくてはならない学校納付金や通学費などの準備ができるよう、今の学校外活動費を負担するかどうかを一度立ち止まって考えてみましょう。
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- プロフィール : 菅原 直子(すがわら なおこ)
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ファイナンシャル・プランナー(AFP)、教育資金コンサルタント
会計事務所向けオフコン販売、外資系生命保険会社勤務・同代理店経営を経て、1997年よりファイナンシャル・プランナー。公私立高校や自治体などで保護者・生徒・教員のための進学資金セミナーおよびライフプラン講座・相談会は関東を中心に10年以上にわたって300回超。新聞や雑誌への取材協力や執筆、働けない子どもに関する家計の相談も行う。地元湘南地域密着のFP活動も展開中。3男子の母。
■著書
共著『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)
『子どもの教育費これだけかかります』(日労研)
■所属団体
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
子どもにかけるお金を考える会
働けない子どものお金を考える会