きょうだいが多い場合の教育費の準備
子どもの教育費、いつどんな準備をすればいい?
子どもが生まれた時点で、教育費がしっかりと準備できているということはありえませんから、時間をかけて計画的に教育費の準備をしていかなければ間に合いません。
必ずしていただきたい準備方法としては、世帯主の口座にまとめて振り込まれる児童手当、お祝い金、いただいたお年玉などは、すぐに子どもの口座に入れて、「たまった金額」と「貯めたい目標金額」を定期的に確認することです。
子どもが生まれたときに学資保険に加入していた方も、例外ではありません。最近の学資保険の特徴として、いつ、どのように支給されるのかが商品ごとに異なります。中学や高校など、それぞれの入学の節目にお祝い金がある商品や、大学進学後、毎年、一定金額が支払われる商品など、途中で給付金が受け取れる時期も違えば、満期金を受け取れる時期なども異なります。
学資保険に加入したことで安心してしまって、準備ができたと思う方もいますが、いつ、いくら受け取れるのかをちゃんと把握しておき、実際支払うべき時期にお金が受け取れなければ意味がありません。
特に、推薦入試などで早めの入学が決まった場合など、決まると同時に入学金の支払が必要なケースもありますので、教育費の準備は、できれば高校3年生の夏ごろまでにゴールを設定するといいでしょう。
また、きょうだいで同じ商品に加入するのが正しいケースばかりではありません。生まれた時期が違えば、適正な商品も異なります。きょうだいだからと同じ方法で準備をする必要はないでしょう。
きょうだいごとに目標金額は違っても構わない
文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査結果」という調査結果を見ると、公立幼稚園や私立高等学校の学習費は少し下がったものの、全体的に学習費総額が上がっている傾向があります。つまり、きょうだいでもし同様の進学をしたとしても、同じ費用で済むかどうかわかりませんし、下の子の時には上の子と制度が違っているかもしれません。同じ金額を準備していたとしても、上の子には足りたものの、下の子では不足してしまうというケースもあるでしょう。
「これくらいずつなら定期的に貯蓄できる」と「何歳の時にいくら貯蓄ができている」という計画くらいはそれぞれに組み立てておきましょう。貯蓄する場合も、余った金額ではなく、最初から天引きすることで貯蓄習慣につなげていきましょう。
できれば毎年時期を決めて、例えば「新学年になった時」もしくは「12月の年末の時期」などの決まった時期に、計画との差異をはっきりさせることを忘れないでください。なぜなら、子どもの教育や進路は計画通りにはいきません。
親としては、塾に行かせる予定がなかったのに、学校だけでは勉強が足りず、補助の学習塾にお試しで行ったところ、そのまま継続する、なんてこともあるでしょう。こうなると、当初、それぞれの子どもに1万円ずつ貯めようと思っていたのに、7000円ずつになってしまった、などずれが生じすることは珍しくありません。早め早めに計画を修正する必要があるのです。大事なことは、目標金額との差額がどれくらいあり、その不足額への対策を早めに調べる時間を稼ぐことです。
普段から進路を話し合える関係を目指そう
親子で何でも言い合える関係は理想的だといえますが、実際にはなかなか難しいものです。子どもの進路によっては、かかるお金が全く変わってきます。かかるお金を把握するために特に話題に出していただきたいのは、いつ受験をするかと、どこまでの進路を考えているかという点です。
子どもが中学受験をするかどうか、もしくは専門学校などで手に職をつけるのか、もしくは大学に行くのか、など受験の時期といつまで教育費が必要なのかを見定めてください。複数の子どもの受験が重なった場合、かかる費用が膨れ上がります。
もし、勉強があまり好きではないからと、手に職をつけることを目指して、急遽、専門学校に行くときにも同様に注意が必要です。実技などが必要な専門学校であれば、年間100万円から200万円程度費用がかかることもあります。あらかじめ費用のピークが予測できれば、それに向けて準備ができます。
「子どもの進路は子どもが勝手に考えることだから」「出せないものは出せない」といわないでください。教育費のピークを把握できれば、ほかの支出、例えば旅行やリフォーム、自動車購入の時期など、他の支出を上手にずらすことで、教育費のピークを乗り越えることが可能になります。
きょうだいがいる場合、上の子には学費を親が出せたのに、下の子の時には奨学金を借りることになったなど、複数の子どもがいるとどうしても不公平になりがちです。子どもが複数いることで、どうしても家計が膨らんでしまうのは仕方のないことですが、親として、公平を目指し、「できることはしっかりとやってきた」という姿勢を見せるためにも、子どもごとに個別の口座でしっかりと家計管理をしていきましょう。
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- プロフィール : 當舎 緑(とうしゃ みどり)
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社会保険労務士。行政書士。CFP®
一男二女の母。阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。得意テーマは、教育資金の準備方法、社会保険の仕組み、エンディングノートの作り方、これから始めるやさしい終活、成年後見の活用方法、銀行を介さない家族信託の仕組みなど。著書は、『3級FP過去問題集』(金融ブックス)『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)など。
子どもにかけるお金を考える会メンバー
http://childmoney.grupo.jp/
一般社団法人かながわFP生活相談センター理事
http://kanagawafpsoudan.jimdo.com/
- オフィシャルWebサイト
- http://tosha.grupo.jp/