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category:進学費用
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2020.07.01

高等学校の授業料負担、実質無償化ってホント?

2020年4月から高等学校の授業料が実質無償化になる制度が始まりました。新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐために外出が抑制され、収入減に悩む保護者にとって、幼児教育の無償化、高等教育の無償化と同様、高校の授業料負担がタダになるというのですから嬉しい話題です。

ただ、幼児教育も高等教育も無償になる人は確かにいますが、対象者や無償になる範囲が限定されています。高等学校の授業料実質無償化は、どうなのでしょう。

支援額は増えたが、わが家も無償になるとは限らない

制度の名称は「高等学校等就学支援金」。新しい制度ではありません。これまであった制度が改正されて、保護者の年収が約590万円未満の私立高校に通う生徒への支援額が増えました。その結果、公立高校だけではなく私立高校の授業料もカバーできるとされて「実質無償化」と言われるようになっています。

高等学校等就学支援金の制度改正

(出典:文部科学省「2020年4月からの『私立高等学校授業料の実質無償化』リーフレット」)


そうは言っても、高校の授業料は学校によって異なります。支援対象になったとしても、1年間あたりの授業料が支援額を超えていれば、無償になったことにはなりません。

また、支援の対象は「授業料」だけなので、学校納付金のうち「授業料」以外の納付金は保護者負担のままです。学校に納めるお金すべてを口頭では「授業料」と言ってしまいがちですが、実際は授業料や、施設設備費、教育充実費などに分かれているはずです。授業料が実質無償となった家庭であっても、その他の学校納付金の負担は続きます。

お住まいの都道府県によっては、独自の支援の上乗せがあり、施設設備費などの恒常的な費用を支援の対象としていることもあります。

国の制度である「高等学校等就学支援金」にわが家が該当するかどうか、該当するのであれば都道府県独自の上乗せも含めた支援額を確かめましょう。高校入学前でも、都道府県のホームページで概要は分かります。

手続きは子どもの通う高校が窓口になります。手続き時期や必要書類は高校から説明がありますが、その方法は学校ごとに異なります。保護者を集めて詳しい説明をする学校もあれば、生徒に書類一式を渡すだけのこともあります。手続きしそびれないように子どもと情報を共有するようにしましょう。

高校時代の教育費負担が軽くなるとしても油断は禁物

高校の学校納付金すべてが無償にならないとしても、「高等学校等就学支援金」の対象になれば家計は楽になります。気をつけたいのは、それを見越して小中学校での教育支出を増やしたり、貯蓄を怠けてしまうこと。

わが家の状況も社会の状況もどのように変化するか、本当のところはわかりません。保護者が想定している高校よりも学費が高い学校に子どもが進学して、授業料以外の負担が増えるかもしれないのです。わが家の収入が現在より減れば、高校時代に大学のための貯蓄が予定どおりできなくなる可能性もあります。収入が増えて支援の対象にならず、教育費負担が想定より増えることも考えられます。

高等教育の費用として貯めたお金を結果的に使わずにすめば、それは保護者の老後生活費に回せばいいだけのことです。子どもが大学を卒業しても住宅ローンが残っていたら繰上返済にあててもいいでしょう。必要と思われる金額さえ用意できればいいとせず、多めに貯めて構わないのです。

今は、どのような支援の対象になったとしても、子どもが大学や専門学校に進学するための貯蓄計画を崩すことなくコツコツ続けることが大切です。大学や専門学校へ子どもが進学することを前提に、予定額をきっちりと積み上げていきましょう。

[菅原 直子]
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プロフィール : 菅原 直子(すがわら なおこ)

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、教育資金コンサルタント

会計事務所向けオフコン販売、外資系生命保険会社勤務・同代理店経営を経て、1997年よりファイナンシャル・プランナー。公私立高校や自治体などで保護者・生徒・教員のための進学資金セミナーおよびライフプラン講座・相談会は関東を中心に10年以上にわたって300回超。新聞や雑誌への取材協力や執筆、働けない子どもに関する家計の相談も行う。地元湘南地域密着のFP活動も展開中。3男子の母。

■著書

共著『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)

『子どもの教育費これだけかかります』(日労研)


■所属団体

日本ファイナンシャル・プランナーズ協会

子どもにかけるお金を考える会

働けない子どものお金を考える会

インフォメーション

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