マジックハンドを作って対角線のひみつを調べよう!
四角形の特ちょうは、辺の長さや角の大きさ、向かい合う辺が平行かどうかなどで決まります。例えば平行四辺形は、向かい合う2組の辺が平行な四角形です。平行四辺形のすべての辺の長さを同じにするとひし形になります。ひし形の全ての角が直角の時には正方形と呼びます。今回は、平行四辺形とひし形を使ったマジックハンドを作って、それぞれの特ちょうを調べてみましょう。マジックハンドは、少しはなれた場所にあるものをつかむのに便利な道具です。
<準備するもの>
・紙ストロー(20cm) | 4本 |
・輪ゴム | 4本 |
・工作用紙 | 4分の1枚 |
・定規 | |
・カッターナイフ | |
・ペン |
<平行四辺形のマジックハンドを作ろう>
①ストローにしるしをつけます左はしから、5センチメートル、6センチメートル、4センチメートルの間かくでしるしをつけます。右はしは5センチメートル残りました。
②切り込みをいれます
*カッターナイフはおうちの人といっしょに使ってください
左から2つ目のしるしに切り込みを入れます。折るための切り目なので切り落とさないように気を付けましょう。切り込んだ部分で軽く曲げておきます。
③組み立てます
片方のストローの向きを変えて、折れ目がずれるように並べます。2本のストローの一番左のしるしどうしを合わせてゴムで留めます。ゴムを八の字にかけていくとしっかり留まります。同じように一番右のしるしどうしを合わせてゴムで留めます。これで完成です。
<ひし形のマジックハンドを作ろう>
①ストローにしるしをつけます左はしから、5センチメートル、5センチメートル、5センチメートルの間かくでしるしをつけます。右はしは5センチメートル残りました。
②切り込みをいれます
左から2つ目のしるしに切り込みを入れます。切り落とさないように気を付けましょう。切り込んだ部分で軽く曲げておきます。
③組み立てます
2本のストローの一番左にあるしるしどうしを合わせてゴムで留めます。同じように一番右にあるしるしどうしを合わせてゴムで留めれば完成です。
<平行四辺形の実験をしよう>
最初に組み立てた平行四辺形のマジックハンドで実験をしてみましょう。
①平行四辺形を観察する
マジックハンドをたてに持って、手前側の2本のストローを左右に開いたり閉じたりしてみましょう。平行四辺形が細くなったり太くなったりするのがわかります。あるしゅん間だけ長方形ができるのですが、わかりましたか? すべての角が直角になったしゅん間に長方形になりますね。長方形をつぶしたものが平行四辺形だと考えることもできます。
②対角線を観察する
対角線とは、向かい合う頂点を結んだ線のことで、四角形の種類などによっても交わる角度はさまざまです。では平行四辺形ではどのように交わるのかを調べてみましょう。
工作用紙に十字を書きます。マジックハンドをたてにむけて、上側のゴムと下側のゴムが十字のたての線に合うようにします。左右の角も十字の横の線の上にくれば「対角線は直角で交わる」と言えるのですが、ずれてしまいます。
平行四辺形を細くしたり太くしてみたりすると対角線は直角に交わるのでしょうか。十字の中心に、だいたい平行四辺形の中心がくるようにして、手前側のストローをゆっくり左右に開いたり閉じたりしてみてください。この時、マジックハンドの上下にあるゴムの位置が、十字のたて線からずれないように気を付けましょう。どのように平行四辺形を作っても、左右の角は十字からずれてしまうのがわかります。平行四辺形の対角線は直角には交わらないのです。
<ひし形の実験をしよう>
①ひし形を観察する先ほどと同じように、マジックハンドをたてに持って、手前側の2本のストローを左右に開いたり閉じたりしてみます。すべての角が直角になったしゅん間に正方形ができるのがわかります。正方形をつぶしたものがひし形だと言えそうです。
②対角線を観察する
マジックハンドをたてに向けて十字の上にセットします。左右の角も十字の横の線の上に合わせることができました。この時「対角線は直角で交わる」と言えます。
ひし形を細くしたり太くしてみたりしても対角線は直角に交わります。ひし形の対角線はいつも直角には交わることがわかりました。
最後に、対角線が直角に交わるかどうかでどのようなことが起こるのかも観察してみましょう。まず、平行四辺形の対角線は直角に交わりませんが、マジックハンドで実験してみます。マジックハンドの手前の部分を開いたり閉じたりすると、先の部分はななめの方向に縮んだりのびたりすることがわかります。正方形の対角線は直角に交わりますが、同じように開いたり閉じたりしてみると、先の部分はまっすぐのびたり縮んだりすることがわかります。対角線がどのように交わるかでこのように動きにちがいが出てきます。図形は現実の世界でも意味があるのです。マジックハンドの先にうすいスポンジなどをつけると、すきまができにくくなって物をつかみやすくなります。いろいろと研究して楽しんでみてください。
- プロフィール : 中牟田 宴子(なかむた やすこ)
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家庭教育研究家。
九州大学卒業。大学では認知心理学を専攻。
大学卒業後は大手メーカーでシステムエンジニアとしてプログラムの設計と開発を担当する。その後育児期間を経て現在は、認知心理学を基に数学と科学などのつながりを学べる「算数・数学塾」を企画運営しながら家庭教育を研究。子どもたちが不思議なものに出会って驚いたり感動したりする瞬間に立ち会えるのが幸せ。
2012年より5年間東京大学大学院工学系研究科で工学教育に関わった。
NPO法人センス・オブ・ワンダーの代表を務め、東京大学工学部や研究機関と共に子どものためのサイエンスカフェなどを企画開催。
認知心理学に基づくナカムタメソッドの研究開発を行い、算数とアート、理科などが融合したコンテンツの開発と普及を行っている。
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「算数・数学塾」のWEBサイト
現在、さいたま市にて開校している「さんすう大好き!」が生まれる教室
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