60度の角度を使った工作で図形のカンを手に入れよう!
3年生では「角の大きさ」を学びますが、例えば30度は現実の世界ではぶつかると痛いくらいかなりとがっていたり、200度はまっすぐな線になる180度を超えた変わった角だったりすることは、ぴんとこない人も多いかもしれません。
ですが、図形を学ぶ場合に角度についての実感があることは、色々な解き方を思い浮かべられるだけでなく、計算結果のまちがいも見つけやすくなります。
今回は60度の角がある部品を集めて、雪の結晶のようなかざりを作りながら角度を体験してみましょう。見てさわって覚えた角度は、これから角度を見る時の基準となることでしょう。
<準備するもの>
・折り紙(両面カラーの折り紙がおすすめです) 2枚
・折り紙(直径3センチメートルの円に切ったもの)1枚
・はさみ
・セロハンテープ
・のり
<60度の角がある部品を作ろう>
底面に60度の角がある立体的な部品を作ります。
①60度の角を作ります
折り紙を三角形になるように半分に折り、さらに半分に折って、できた折り目にそって切りはなします。1枚の折り紙から4個の直角三角形ができました。
切りはなした直角三角形の1つの、一番長い辺(底辺)を二等分するように半分に折って折り目をつけます。折り目と底辺が重なる点を中心にして、底辺を3つの角に分けるように左右を折りたたみます。180度を三等分したので1つの角は60度になりますね。
②立体の部品を作ります
さらに60度の角が半分になるように折ります。(写真:上段左)
次に一度開いて、中心で分けられた左右の底辺をセロハンテープではってつなぎます。(写真:上段右)
つなぎ合わせたらもう一度折り目にそって折りたたみ、右側に「わ(テープではった部分)」がくるようにします。(写真:下段左)
「わ」になった部分と左上の部分に、切りこみを入れます。切る場所や大きさによっていろいろな模様ができるので、好きな模様を作っても楽しめます。(写真:下段中央)
そっと広げると模様の入った美しい部品ができているはずです。(写真:下段右)
底面の下側の角は60度になりました。観察してみると60度という角度がどのくらいのとがり具合なのかを実感することができます。
同じように折り紙を切りはりし、この部品を合計6個作りましょう。
<部品を並べて実験しよう>
①部品を3個並べます
底面の60度の角を3個並べてみましょう。「60×3=180」で180度になり、まっすぐ並びました。
②6個の部品をつなぎます
直径3センチメートルの円に切った折り紙の上に、底面の60度の角を6個並べてはります。
60度が6個ですから「60×6=360」で360度になり、平面をすき間なくしきつめることができました。
雪の結晶のかざりのできあがりです。裏側から見ると立体的で不思議な形です。表側から見ると雪の結晶のような模様がはっきり見えます。このまま立ててかざることができます。
<おまけの実験>
3個の部品を、外側に底面の60度の角がくるように並べると、底面で正三角形が作れそうです。
正三角形は全ての辺の長さが同じですから、全ての辺が同じ長さになるように調整しながら組み合わせると写真右側のような形になります。これは全ての面が正三角形の正四面体という形です。古代ギリシャ人が「ピュラミス」と呼んだ特別な形で、「ピラミッド」という単語の語源でもあります。
工作をしながら角度を楽しめましたか?見てさわって実感する算数はこれから先も皆さんの学びの土台になることでしょう。
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- プロフィール : 中牟田 宴子(なかむた やすこ)
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家庭教育研究家。
九州大学卒業。大学では認知心理学を専攻。
大学卒業後は大手メーカーでシステムエンジニアとしてプログラムの設計と開発を担当する。その後育児期間を経て現在は、認知心理学を基に数学と科学などのつながりを学べる「算数・数学塾」を企画運営しながら家庭教育を研究。子どもたちが不思議なものに出会って驚いたり感動したりする瞬間に立ち会えるのが幸せ。
2012年より5年間東京大学大学院工学系研究科で工学教育に関わった。
NPO法人センス・オブ・ワンダーの代表を務め、東京大学工学部や研究機関と共に子どものためのサイエンスカフェなどを企画開催。
認知心理学に基づくナカムタメソッドの研究開発を行い、算数とアート、理科などが融合したコンテンツの開発と普及を行っている。
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