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category:勉強方法
見つかる、キミの未来。中学校・高等学校 進学NEWS
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2023.01.04
実験と工作で楽しく学ぶ算数塾 20回目

見て触って学ぶ割合(食塩水)

小学校で学ぶ数は、リンゴやバナナの個数など「量を表す数」から始まります。この数は、現実の世界と算数がつながっていることが実感できて分かりやすいものですよね。
ところが、3年生からは本格的に登場する「倍」に始まり、5年生では「割合」「単位量当たりの大きさ」「比」などの、直接ものの量を表さず「数と数の関係を表す数」を学ぶことは「算数の壁の越え方その2(5年生)」でご紹介しています。
「数と数の関係を表す数」はなかなかイメージがつかみにくく難しく感じられるようですが、今回はその中でも「割合」の「食塩水」の考え方について、実際に模型を作って触って学ぶ方法をご紹介します。

<準備するもの>

・紙ストロー(白) 1本
・紙ストロー(何色でもよい) 4本
・ゴムのテグス(モール等でもよい) 20㎝程度×10本
・マスキングテープ(水色又は青色)
・定規
・はさみ

<食塩水の問題で量を表している数はどれでしょう?>

「20%の食塩水100gには何gの食塩が溶けているでしょう。」

ここで出てくる「20%の食塩水」の「20」は百分率で表された割合ですから量は表していません。食塩水の量(重さ)と食塩の量(重さ)の関係を表す数、ということになります。「食塩水100g」の「100」と「何gの食塩が」の「何g」は食塩の量(重さ)を表しています。つまりここで量を表している数は「100g」と「何g」です。このように「量を表している数」と、「数と数の関係を表す数」を区別することで、割合の問題の全体が見えてきます。

<関係を表す数は量を表していない>

ここで、量を表していない「割合」について見てみましょう。「20%の食塩水」の「20」は「もとにする量」にかけてようやく量(重さ)がわかります。見方を変えると、元の量(重さ)によって示している量(重さ)も変わるということでもあります。また、百分率とは割合を100倍して分かりやすく表しているものですから、計算する時には100でわって使う必要があります。

<食塩水の模型を作ろう>

「量を表す数」と「数と数の関係を表す数」を理解するために、ちょっと面白い模型を作ってみましょう。
今回作るのは20%の食塩水の模型です。

①ストローにマスキングテープをはります

水を表す部品を作るため、4本のストローに水色又は青色のマスキングテープをはります。この時、マスキングテープを縦にはると簡単にきれいにはることができます。白いストローはそのまま食塩を表す部品とします。

②ストローを切ります

5本すべての紙ストローを1センチメートルの長さに切ります。水色の部品を80個、白い部品を20個切ります。

ストローにマスキングテープをはって切る

③ゴムのテグスを通します

水色の部品8個と白色の部品2個をゴムのテグスに通して輪にして結び、この輪を10個作ります。テグスの代わりにモール等を通してもよいでしょう。

テグスを通す

<使ってみよう!>

この模型は、水色の部品1個が水1g、白色の部品1個が食塩1gを表しています。輪につないだ部品は10個なので輪ひとつは10gということになります。食塩水の濃度は「食塩の重さ÷食塩水の重さ×100」ですから、この輪の部品を食塩水と見立てると「2÷10×100=20」で「濃度20%の食塩水10g」になります。

<割合は量を表していないという実験>

ここで「20%の食塩水100gには何gの食塩が溶けているでしょう。」という問題をもう一度考えてみます。20%というのは割合にすると0.2ですが、これは量を表していませんでした。食塩水の重さ100gに割合の0.2をかけてみると20gという食塩の重さが分かります。
模型で見てみると、輪の部品1個は10gですから10個で100gの食塩水になります。100gの食塩水の模型の食塩に注目すると、白色の部品は20個、つまり20gで計算結果と一致しました。

20%の食塩水100gには何gの食塩が溶けているでしょう

次に食塩水の重さを変えて「20%の食塩水80gには何gの食塩が溶けているでしょう。」という問題を考えてみます。食塩水の重さ80gに割合の0.2をかけると食塩の重さは16gということが分かりました。
模型で確認すると、輪の部品が8個で80gの食塩水になりますから、白い部品を数えると16個、つまり16gで計算結果と同じということが分かります。

20%の食塩水80gには何gの食塩が溶けているでしょう

このように、割合などの「数と数の関係を表す数」は直接ものの量を表すことはありません。もとにする量にかけて初めて量(重さ)が分かるということが実感できれば、割合の問題も簡単に感じることでしょう。この模型を使って、食塩水の濃度と食塩の重さから、食塩水全体の重さを計算して確かめることもできます。色々と挑戦してみてくださいね。


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[中牟田 宴子]
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プロフィール : 中牟田 宴子(なかむた やすこ)

家庭教育研究家。

九州大学卒業。大学では認知心理学を専攻。

大学卒業後は大手メーカーでシステムエンジニアとしてプログラムの設計と開発を担当する。その後育児期間を経て現在は、認知心理学を基に数学と科学などのつながりを学べる「算数・数学塾」を企画運営しながら家庭教育を研究。子どもたちが不思議なものに出会って驚いたり感動したりする瞬間に立ち会えるのが幸せ。

2012年より5年間東京大学大学院工学系研究科で工学教育に関わった。

NPO法人センス・オブ・ワンダーの代表を務め、東京大学工学部や研究機関と共に子どものためのサイエンスカフェなどを企画開催。

認知心理学に基づくナカムタメソッドの研究開発を行い、算数とアート、理科などが融合したコンテンツの開発と普及を行っている。



家庭だから伸ばせる子どもの才能

「算数・数学塾」の企画・運営の中で発見したことや、二児の母として子どもを育てる上で実践してきた家庭学習のヒントとその成果などをつづったブログです。

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