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category:勉強方法
見つかる、キミの未来。中学校・高等学校 進学NEWS
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2022.12.01

算数大好き!の芽を伸ばす方法

小学校低学年頃までは「算数楽しい!」という子どもたちは割と多いように感じます。
ところが国際調査(国際数学・理科教育動向調査)のアンケート結果を見ると、日本では「算数が楽しい」と思う子どもたちの割合はこの後どんどん減っていくことが分かっています。
せっかく「算数楽しい!」と思っている子どもたちの気持ちや好奇心を、どのようにすれば伸ばしていくことができるのでしょうか。

<算数は見て触って学ぶ>

日本の学校では、一人ひとりがものを触ったり動かしたりしながら算数を学ぶという場面はあまりないようです。
その流れからか、学校でも家でも机の上で紙の上に書かれた問題を解くという学び方が主流になっています。ところが、その方法が最善かというとそういうわけではありません。

心理学者であるジャン・ピアジェの思考発達段階説は、現代でも大きく支持されています。
生物としての人の発達段階は順序を替えたり時間を縮めたりすることはできませんから、発達段階に合わせて学びをサポートすることが大切です。個人差はありますが、思考発達段階説によると概ね人は7~11歳の具体的操作期を得て、11歳以降の形式的操作期で抽象的な考え方ができるようになります。
つまり小学生の間は、抽象的な考え方をすることはなかなか難しいと考えた方が良さそうです。このような理由から、具体的なものを見たり触ったりしながら学んでいくという方法が効果的と言えます。

<見て触って発見できる図形の性質>

例えば、図形の性質は机の上でどのくらい学ぶことができるでしょうか。
机の上で問題を解くことが目標であれば、辺の数や頂点の数を覚えたり面積を計算するための公式を覚えたりすることで足りますが、これでは図形の性質を学んだとは言えません。立体図形をあまり触ったことがなければ、頭の中の図形を積み重ねたり回転させてみたりすることも難しくなり、現実の世界で図形の性質を生かすことはできません。これでは図形への興味も育たないでしょう。

<四角形と三角形の実験>

図形は作って触ってみることでより性質を理解できてアイデアも湧いてきます。
紙ストローを辺として、切ったモールをジョイントにすると平面図形や立体図形を簡単に作ることができます。作る過程で辺の数も実感できますし、何よりも図形の性質を体感できます。

正方形はかちっとした印象で強い形に見えるかもしれませんが、実際に作ってみると簡単に変形することがわかります。向かい合う辺を指で挟んでみると正方形は簡単につぶれて対角線の長さが変わってしまうのです。
ところが正三角形ではどうでしょう。紙ストローでできた正三角形は、どの辺を押そうともびくともしません。正三角形に限らず三角形は強いのです。

この性質を利用すると、先ほどの正方形の中に斜めにすじかいを入れて三角形を2つにすることで、正方形を丈夫にすることができます。建築などで使われるトラスという構造です。
図形についてもっともっと知りたくなるし、いろんな形を作ってみたくなりますよね。

<見て触って身に付ける量の感覚>

数は机の上の問題を解くことで身に付けられるでしょうか。これはなかなか難しいと言えます。机の上で数を操ることだけを訓練しても量の感覚は身につきにくく、気付いたころには算数が苦手になっていることもあります。
数学者によると、量は算数と現実の世界を結び付ける唯一のものですから、数を操るだけでなく量の感覚も育てて算数への興味の芽を伸ばしたいところです。

これには、タイルやブロックなど、色々なものに見立てられる抽象的なものを使うとよいでしょう。10という数が言える(唱えられる)ことや書けることと10という量を知っていることは違います。タイルなどをたくさん触って量の感覚を身に付けることで、新しい計算方法を発見してしまうかもしれません。たし算やひき算などの演算の意味も理解しやすくなって、抽象的な算数の世界が自分の周りの世界に近づいてきます。

<算数は場面の中で学ぶ>

算数を学ぶ目的の1つは、算数を日常生活の中の課題を解決することに使えるようになることです。学んだ知識が役に立つとわかれば、子どもたちももっと学びたいと思うことでしょう。役に立つ知識、活用できる知識とは、知識同士がつながっていてさらに場面の中で身に付けた知識だということも研究からわかっています。おうちの中の様々な場面に算数を散りばめていくことで、役に立つ知識を手に入れることができます。

低学年のお子さんであれば、工作をしながら長さの単位を使ってみるも良いでしょう。高学年のお子さんであれば、お料理やお菓子作りの中で比を学べば、役に立つ知識になりもっと知りたくなるでしょう。
まずはおうちの中でたくさん算数を使う場面を体験して、学校で学ぶ時には知識と体験を結びつけることができるのが理想的です。詰め込むことが先になると算数は楽しくなくなります。

このように、算数の芽を伸ばしていくにはいくつかポイントがありました。
ですが、もっと効果的な方法があります。私が長年の子どもたちの算数学習を見守っていて感じていることは、おうちの方と学んだ算数は大好きになるということです。水のかさでつまづいていたお子さんが、おうちでお母さんと一緒に水に見立てた水色のおり紙で水のかさを学んだそうですが、その後は水のかさが大好きになりました。
算数大好きの芽を伸ばしていくには、おうちの方と一緒に見たり触ったりしながら学んでいくことが大切だと実感しています。

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#おうち学習 , #中牟田宴子 , #低学年 , #図形 , #量
[中牟田 宴子]
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プロフィール : 中牟田 宴子(なかむた やすこ)

家庭教育研究家。

九州大学卒業。大学では認知心理学を専攻。

大学卒業後は大手メーカーでシステムエンジニアとしてプログラムの設計と開発を担当する。その後育児期間を経て現在は、認知心理学を基に数学と科学などのつながりを学べる「算数・数学塾」を企画運営しながら家庭教育を研究。子どもたちが不思議なものに出会って驚いたり感動したりする瞬間に立ち会えるのが幸せ。

2012年より5年間東京大学大学院工学系研究科で工学教育に関わった。

NPO法人センス・オブ・ワンダーの代表を務め、東京大学工学部や研究機関と共に子どものためのサイエンスカフェなどを企画開催。

認知心理学に基づくナカムタメソッドの研究開発を行い、算数とアート、理科などが融合したコンテンツの開発と普及を行っている。



家庭だから伸ばせる子どもの才能

「算数・数学塾」の企画・運営の中で発見したことや、二児の母として子どもを育てる上で実践してきた家庭学習のヒントとその成果などをつづったブログです。

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現在、さいたま市にて開校している「さんすう大好き!」が生まれる教室、 「算数・数学塾」のWEBサイト

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