分数を割合として使って雪の森を作ろう
「"算数の壁"の越え方その2」でもご紹介したように、5年生の壁の大きな原因は、直接ものの量を表さない「数と数の関係を表す数」の存在にあります。3年生の「倍」からはじまって、5年生では「単位量あたりの大きさ」や「割合」などがそれにあたります。ですが苦手なお子さんが多い「割合」も、ご家庭で楽しく使ってみれば、5年生の壁はぐっと低いものになります。今回は分数を割合として使う体験をして、雪の森を工作しましょう。
<準備するもの>
・レースペーパー(直径18㎝) 2枚
・紙ストロー 1本
・折り紙 好きな色を2、3枚
・はさみ
・定規
・液体のり
・ペン
<おうぎ形を作ろう>
雪の木を作るために、3種類のおうぎ形を作ります。
(ア)中心角が2分の1のもの
(イ)中心角が8分の3のもの
(ウ)中心角が8分の5のもの です。
これらのおうぎ形を作る方法はいろいろありますが、今回は割合を使って中心角を計算し、実際にその結果が正しいかも確かめてみます。
①中心角を計算する
(ア)は2分の1なので簡単ですね。割合は「もとにする量」にかけてはじめて量を表します。「360×1/2=180」で180度ということがわかりました。
(イ)は8分の3なので「360×3/8=135」となり、中心角は135度になります。
(ウ)は8分の5なので「360×5/8=225」となり、中心角は225度になります。
②おうぎ形を切り取ります
1枚のレースペーパーを半分に折ります。これで2分の1ですので折り筋の通りに切り離しましょう。(ア)のおうぎ形ができました。中心角は直線ですので計算通り180度になりました。
もう1枚のレースペーパーは、まず8等分することを考えます。半分に折ると2等分、さらに半分に折ると4等分、さらに半分に折ると8等分になりました。
8分の1が3個分のところで切り離します。残ったのは8分の5です。これで(イ)と(ウ)のおうぎ形ができました。
③角度を測って確認しよう
(イ)の中心角と(ウ)の中心角を計ってみましょう。
(イ)は135度、(ウ)は225度と計算通りになったことでしょう。
<雪の木をかざります>
折り紙を好きな形に切って木をかざりましょう。
<紙ストローを準備します>
紙ストローを12センチメートルの長さに切ります。はしから3センチメートル、7センチメートルのところにペンでしるしをつけます。えんぴつなどよりも、濃くしるしがつけられるサインペンなどがお勧めです。
<円すいを作ります>
写真のようにおうぎ形を丸めて半径どうしをはり合わせて円すいにします。3つの円すいができました。おうぎ形の中心角の大きさによってできあがる円すいはどのようにちがっているでしょうか。
(イ)は中心角が一番小さいおうぎ形でしたが、とがった円すいができて高さも高いですね。他の2つも観察してみてください。
<円すいに穴をあけます>
紙ストローを通すため、円すいのとがった部分を少し切って穴を開けます。(ア)と(ウ)の円すいには穴を開けて、一番とがった㋑の円すいには開けません。(イ)はストローを通さずに一番上に乗せるだけになります。
穴は少し小さめに作っておいて、たてに切り込みをいれることで紙ストローとの間にすき間ができないように調整します。
<組み立てます>
紙ストローは3センチメートルのしるしがついているほうが下になります。
まず、紙ストローのしるしをつけた3センチメートルの位置にのりをつけます。一番高さの低い(ウ)の円すいが一番下になりますので、細くなった方が上に来るようにストローに通してはりつけます。
きれいに作るこつはしっかりかわかすことですので、かわくまで待ちましょう。かわいたら紙ストローがまっすぐになるように整えます。
次に7センチメートルの位置にのりをつけ、(ア)の円すいを上から通してはりつけます。最後にストローの先にのりをつけて(イ)の円すいをかぶせて留めます。かわいたらできあがりです。
中にキャンドルライトなどをいれてもきれいです。
今回は、割合として分数を使う方法を体験しました。このように、楽しい体験とつながった知識は忘れることはないでしょう。一緒に楽しんでくださいね。
【ご利用にあたって】
・本コラムの著作権は筆者である中牟田宴子が有しています。
・本コラムで紹介している工作、実験などはご家庭での学習を目的とした利用に限定しています。
・商用、非商用(商業的サービスや商品の提供・宣伝・集客を目的とせず、同時に、どのような形であれ対価の支払いを受けない場)を問わず、ご家庭以外(保育園、幼稚園、塾等)での利用は禁止しています。
・幼稚園や小学校など(学校教育法の第一章第一条で規定される学校・いわゆる一条校)や、保育園、児童館、公設または父母会設置の学童保育、公民館、図書館での知育・学習・教育活動、および授業や宿題、自習や補習の教材などとしての利用はできません。
当サイトの利用ポリシーもあわせてご確認ください。
https://find.naninaru.net/policy/site/
- プロフィール : 中牟田 宴子(なかむた やすこ)
-
家庭教育研究家。
九州大学卒業。大学では認知心理学を専攻。
大学卒業後は大手メーカーでシステムエンジニアとしてプログラムの設計と開発を担当する。その後育児期間を経て現在は、認知心理学を基に数学と科学などのつながりを学べる「算数・数学塾」を企画運営しながら家庭教育を研究。子どもたちが不思議なものに出会って驚いたり感動したりする瞬間に立ち会えるのが幸せ。
2012年より5年間東京大学大学院工学系研究科で工学教育に関わった。
NPO法人センス・オブ・ワンダーの代表を務め、東京大学工学部や研究機関と共に子どものためのサイエンスカフェなどを企画開催。
認知心理学に基づくナカムタメソッドの研究開発を行い、算数とアート、理科などが融合したコンテンツの開発と普及を行っている。
家庭だから伸ばせる子どもの才能
「算数・数学塾」の企画・運営の中で発見したことや、二児の母として子どもを育てる上で実践してきた家庭学習のヒントとその成果などをつづったブログです。
https://sansu-sugau.hatenablog.com/
現在、さいたま市にて開校している「さんすう大好き!」が生まれる教室、 「算数・数学塾」のWEBサイト
http://sansusugaku.wixsite.com/home
NPO法人センス・オブ・ワンダーのブログ
http://sense-of-wonder-2008.cocolog-nifty.com/blog/