年末年始は子どもへの金銭教育を始める時期。新年から始めたい子どもに伝えるお金の管理とは
年末年始は、いつもよりも子どもにたくさんのお金が集まります。少子化が進んでいる昨今では、親や祖父母だけではなく、親の兄弟からの複数の財布を入れて「シックスポケット」という言い方をされることもあります。こんな時こそ、親子でお金の話ができるとき。子どもにとって、金銭感覚は一生ものの財産となります。ぜひ親子でお金について話してみましょう。
いつもと違うお金は子供と交渉することが大切
前述のように、周囲にお金やプレゼントを渡してくれる大人が多い今の子供は、クリスマスやお年玉などは非常に贅沢なものとなるように思いがちですが、子どもにかけられるお金は家庭によって異なります。総務省の家計調査(2024年1月) を見てみると、他人の子どもへのお年玉とみられる贈与金の金額は14225円。あくまでも参考程度ですので、お年玉にしては意外と少ないと感じる方もいるでしょう。ただ、いつものお小遣いよりも「多く」もらえるお金をどう使えるのか、何に使うかという調整を親子でしてみましょう。お金の感覚が祖父母、父、母それぞれ異なり、思い思いに意見を出すこともあるかもしれませんが、大人が右往左往すると子どもは迷ってしまうため、方針のすり合わせはしっかり行うと良いでしょう。方針を決めたあとは、子ども自身が使い道を選べる金額を考えていきます。お年玉の中から子どもが自由に使える金額を1000円にするのか、5000円にするのか、それとも10000円にするのかを、まず親子で決めてください。「なぜこれに使いたいのか」「今使うべきなのか」「買う以外の選択肢はないのか」など、もらったお金を「今」使いたい理由を精査したうえで、子どもとの交渉に臨みましょう。
通帳を見せる?見せない?親子だから約束してみる内緒の話
お年玉をもらったら、その場で全額を親が回収してしまうことはありませんか。子どもからすると、いくら貯まっているのか、何のために回収されるのか、わかっていないなら、子どもが「勝手に取り上げられた」という不満が積み重なってしまうこともあるでしょう。「子どもにお金を渡しても、ちゃんと使えない」という言い訳を一生続けることはできません。いつかは子ども自身でお金を管理する時期が来るのです。お金の管理は急にはできません。もし、子どものためという理由で、お年玉や祝い金、児童手当など、子どものためのお金を親が管理するのであれば、子供にもその情報を開示するよう心掛けてみましょう。将来の教育資金としていつか渡すことを想定するのであれば、大学に進学するのであれば「いくらかかる」から、18歳時点に「いくら貯めるか」目標を立てようなど、具体的に話をしながら、子どもに通帳にたまっている金額と目標の違いを見せてあげましょう。もし、「通帳にいくら貯まっている」ということを外で吹聴するのが心配であれば、「これは親子の内緒の話。外では言わないでね」ということで、約束させてください。今は自由に使えなくても、将来的には自分のために使われるということは、子どもでも、説明されれば十分理解できるはずです。
子どもの金銭感覚が信用できないとき。なにからはじめる?
子どもに金銭教育なんて早い、まだまだお金を子どもの自由に任せることが不安、信用しきれないというお話を保護者から聞くことも多々ありますが、「いつならできるのか」を考えてみましょう。「いつ」なのか正解はないことに気づくはずです。お金の管理を失敗したことがない方はいません。ファイナンシャルプランナーのような、いわゆる「専門家」と言われる職業であったとしても、実は内々では、これまでのお金の失敗談を披露することも珍しくないのです。小さいときだからこそ、失敗は少額で済み、リカバリーできることがほとんどです。キャッシュレス決済も進んでいますから、子どもが塾に行くときに、交通系ICにお金をチャージして、渡すご家庭も多いかもしれませんが、キャッシュレスでお小遣いを渡してしまうと、無駄遣いが発生しやすいことは大人も感じているはずですのでおすすめできません。子どもにチャージでICカードを渡す場合には、利用履歴を親子で確認する習慣をつけましょう。たとえば、JR西日本のICOKAでは、利用履歴、残額の確認もできます。(参考:https://faq-support.westjr.co.jp/hc/ja/sections/8527176600207-%E5%88%A9%E7%94%A8%E5%B1%A5%E6%AD%B4-%E6%AE%8B%E9%AB%98%E7%A2%BA%E8%AA%8D )。ただ、忙しいからということであれば、2週間ごともしくは4週間ごとなど期限を決めて、その期間に事前にチャージする金額を決めることでお小遣い帳をつける手間を省くことができます。
子どもの金銭感覚は一生ものの財産だと申し上げましたが、親の世代でも家計簿をつけるということは少なくなっています。お金の管理方法は「こうしないといけない。」と気負わずに、年末年始で受け取ったお金の使い道を、親子でお金の話を始めるきっかけにしてみましょう。
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- プロフィール : 當舎 緑(とうしゃ みどり)
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社会保険労務士。行政書士。CFP®
一男二女の母。阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。得意テーマは、教育資金の準備方法、社会保険の仕組み、エンディングノートの作り方、これから始めるやさしい終活、成年後見の活用方法、銀行を介さない家族信託の仕組みなど。著書は、『3級FP過去問題集』(金融ブックス)『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)など。
子どもにかけるお金を考える会メンバー
http://childmoney.grupo.jp/
一般社団法人かながわFP生活相談センター理事
http://kanagawafpsoudan.jimdo.com/
- オフィシャルWebサイト
- http://tosha.grupo.jp/