スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校とは?その特徴とメリットを解説
中学・高校の志望校を選ぶ際、偏差値や進学実績だけではなく、学校独自の魅力についても調べることでしょう。特色ある学校を見つける際のキーワードは、国際色豊か、探究活動、伝統校、起業家精神、サイエンス教育など様々です。今回は志望校選びの際によく目にする「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校」について、その特徴と進学するメリットを解説します。
スーパーサイエンスハイスクール支援事業
文部科学省は平成14年から「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)支援事業」を実施しています。主な目的は、先進的な理数系教育や文理融合領域に関する研究開発を実施している高等学校等を支援することを通じて、科学技術人材の育成を図ることです。
指定校数は235校程度、予算総額は約23億円です(令和6年度)。指定期間は原則5年間で、指定校になれば、1年目1,200万円、2・3年目1,000万円、4年目以降750万円(いずれも年間額)の支援金を学校は受け取ることができます。また金銭的な援助とともに「国立研究開発法人科学技術振興機構」が学校のSSH活動へ支援協力をします。
令和6年度スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校の内定等について
(別紙2)スーパーサイエンスハイスクール(SSH)支援事業
具体的な取り組みや進学のメリット
SSH指定校では「先進的な理数系教育による想像性豊かな人材育成」を行うため、学校が策定した独自のカリキュラムに基づき、高度な授業や探求活動が実施されます。
具体的には大学や企業、研究機関と連携した最先端の技術に触れられる特別授業、あるいは地域の特性を活かしたフィールドワーク等を実施して探求活動を行うなどです。様々な研究や活動を通して得られた学習の成果をコンクールや学会で発表することは、生徒にとって貴重な経験となるでしょう。
また海外の高校・大学と連携している場合も多く、海外の科学授業の視察や英語での授業聴講、スピーチ等を通して、国際的に活躍する意欲や能力が育成されることも期待されます。
なお、実施する内容は学校毎に違いがあります。 また同じ学校でも、5年間の活動期間で目標や内容も変化しますので、志望校選びの際には、学校のHPや説明会などでよく確認しましょう。
SSH指定校に進学するには?
全国のSSH指定校リストは科学技術振興機構のHPから確認することができます。これまでの活動に関する報告書も閲覧が可能です。SSH指定校はその地域の難関進学校と呼ばれる高校が多く、また高校からは募集をしていない私立や公立の中高一貫校も含まれています。
これらの学校に進学するには、受験に向けて小・中学生のうちから、理科・算数(数学)に興味や関心を持つだけでなく、苦手な教科を作らない等しっかり対策をしましょう。特に英語は海外学校との連携に力を入れている学校もありますので、得意にしておくと心強いですね。
理系の教育費は文系よりもかかる
高校時代に国の支援金を活用したSSH指定校において、専門的な理数系教育を受けることは、今後の進路を決める上で、大いに役に立つことでしょう。理系大学や技術力に優れた企業、研究所の人と関わることで、自分の将来をイメージしやすくなります。理系への進学を考えているなら、SSH指定校の中から各校の特徴をぜひ調べてみてはいかがでしょうか。
なお、高校卒業後に理系の大学や専門学校で、専門的な教育を受けるには、多くの費用が必要となります。例えば令和5年度の文部科学省の調査によると、私立大学の初年度学生納付金等平均額(1年生の学費)は、文系大学で約120万円、理系大学で約150万円と年間で約30万円もの差があります。また大学在学中に研究が進めば、大学院への進学も視野に入ってきます。理数系が得意で、将来は理系に進み、科学技術分野を学んでみたいという希望を持っているなら、多めに進学費用を準備しておきましょう。
令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等 平均額(定員1人当たり)の調査結果について
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- プロフィール : 山内 真由美(やまうち まゆみ)
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ファイナンシャルプランナー(CFP®・1級FP技能士) 国家資格キャリアコンサルタント
中学生の双子の母。ファイナンシャルプランナー資格を取得後、都市銀行の支店にて個人向けに資産運用の案内を担当。現在は、東京都内の自治体にてひとり親のための家計相談、高校の保護者会にて奨学金や教育ローンの活用方法について講演している。また資産運用に関するWeb記事の執筆およびムック本の監修を担当。著書は『FPママの親と子で学ぶお金のABC・13歳からのマネーレッスン本』(河出書房新社)- オフィシャルWebサイト
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