祖父母から教育費の援助を受けるときに知っておきたい3つのポイント
子どもたちが育ってくると考えざるを得ない教育資金。生まれてすぐに準備を始めたとしても、親が思いもよらない習い事をやりたいと言われたりすると心もとなくなることもあります。そんな時に両親、つまり子どものおじいちゃんやおばあちゃんから「援助してあげるよ」と言われたらうれしいですよね。今回は祖父母から教育費の援助を受けるときに知っておくべき3つのポイントをお伝えします。
Point1 教育資金は非課税
最近だけの話ではありません。以前から教育資金は非課税で祖父母から贈与してもらうことが出来ました。ここでのポイントは「教育費として必要な都度、直接これに充てられるものに限られる。」と限定されていると知っておくことです。
(参考:国税庁サイト よくある税の質問>贈与税がかからない場合)
例えば、塾の夏期講習代などまとまった金額を払うときは援助を頼みやすいと思います。一方、毎月の塾代をまとめて先払いで3年分(払う)もらうといった場合は、"必要な都度"と認められない可能性があります。かといって、毎月振り込んでもらうのもお互い手間がかかります。つまり、教育資金をどのタイミングで援助してもらうかを考える必要があるということになります。
Point2 お金が教育資金とわかるようにしておく
誰から誰にお金が動いたかわかるようにしておくことが、2つめのポイントです。親の名義の普段使いの預金口座に教育資金を振り込んだ場合、生活費と一緒になって使い道がわからなくなってしまうことも。
祖父母から振り込んでもらう専用の口座を作って、教育資金としてのお金の流れがわかるようにしておきましょう。
Point3 条件を満たせば、非課税で一括贈与してもらえる
令和5年3月31日までの期間限定で、都度ではなく一括で、かつ非課税で贈与してもらえる「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」があります。
30歳までに使い切ることが前提となりますが、最大1,500万円まで贈与してもらうことが出来ます。
使い道は広く、学校や塾の学費、海外留学、制服や学用品の購入だけでなく、ピアノや絵画などの教養の向上、テニスやバスケットボール、水泳といったスポーツの習い事にも使用可能です。
この制度を活用する場合、メリットとデメリットを知っておきましょう。
メリットはPoint1と違ってまとめて贈与してもらえる点です。
デメリット1)祖父母から直接渡してもらえるわけではなく、金融機関に専用の口座を作り、教育資金非課税申告書を税務署に提出してから教育資金を入金してもらうという流れになります。そして口座に入金したお金を引き出す際には、預けた金融機関に教育費関係で使ったことがわかる領収書などを持っていかなければなりません。つまり、親の持っているお金で先払いする必要があるのです。
入学金などの大きな金額が必要な時など、どうしても手持ちの資金で先に用意できない場合は、Point1の都度援助と併用することも考えて相談してみましょう。
デメリット2)もらった資金を30歳までに使い切らない場合、残った金額に贈与税がかかります。
たとえ祖父母側に余裕があったとしても1,500万円の上限額ではなく、あらかじめどのくらい教育資金がかかるのか調べたうえで必要と思われる金額を贈与してもらうようにしてもらいましょう。
教育資金はどれだけきちんと計画していたとしても、すべてが親の思うように進むとは限りません。おじいちゃん、おばあちゃんも、その時々で援助してあげたいと思う場面が出てくると思います。受けられる援助はありがたく受けながら、お子さんの進みたい道に向かえると良いですね。
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- プロフィール : 矢澤 理惠(やざわ りえ)
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株式会社オフィスヤザワ代表
CFP®
WAFP関東(女性FPの会)元理事
ファイナンシャル・プランナーを目指したきっかけは「知らないと損をする」ことを自分で実感したため。
祖父母の相続時に発生した「争続」、何の対策もしておらず2度も払った多額の相続税。
その時に「前もって知っている大切さ」に気づき、知っていると得をする、幸せになることが世の中にたくさんあるとお知らせするべく、個人相談、執筆を行うとともに、資産運用・ライフプランニング・相続セミナーを3本柱としてとして活動中。
■経歴
郵政省時代、東京都港区の特定郵便局に勤務。その後、横浜に転勤、半年後に民営化を控えた平成19年に退職し、独立系ファイナンシャル・プランナーに転身。FPのかたわら、自由が丘でローカーボCafé&Barの店長としてバーテンダーを務めた。
2018年7月車のパーツショップを、2019年10月には横浜市青葉区にてローカーボ(低糖質)のダイニングバーをオープン。
現在は3足のわらじを履いている。