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category:進学費用
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2019.10.01

教育費についてニュースで流れる数字を鵜呑みにするのは危険!

気になる「よそのお宅の補助学習費」を見てみる

現時点で公開されている文部科学省の数字を見てみましょう。

学年別補助学習費

(出典:文部科学省「平成28年度子供の学習費調査」)
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/12/22/1399308_3.pdf


この表は補助学習費の金額を抜粋した数字です。補助学習費は、予習、復習、補習など、学校教育に関する学習にかけた費用のことで、具体的には家庭内での学習に使うもの(問題集や筆記用具など)の購入費、家庭教師や塾の費用、勉強するために通う図書館への交通費や模擬テキストの受験代などがあります。

平均額を見て、「本当にこの数字でいいの?」と思った方は多いのではないでしょうか。これは、保護者に調査票が渡され、実際記入してもらったものを集計したものです。この調査票には、書き方や注意点が記載されているのですが、実はかなり細かい注意点やQ&Aがあります。平成30年度の回答依頼に添付されている、保護者への注意点とQ&Aをいくつか抜粋してみましょう。

【問1】
自宅での勉強用に、タブレット型コンピュータを購入しました。この費用は、どう回答すればよいですか?
【答1】
コンピュータなど使途が多岐にわたる用具は、主な用途で項目を判断し、記入してください。例えば自宅学習を主な目的として購入したタブレットは、「B-1-a1 家庭内学習費-物品費」に入ります。また、通信教育を受けるための専用タブレットは、「B-1-b 家庭教師費等」に入ります。ソフトやアプリを購入した場合の費用は、別途、それぞれの用途に応じて項目を判断してください。

【問2】
この冬、子供が高校を受験します。入試までの間に要した学習塾費、模試代、入試当日の費用(受験料や食事代等)、合格した高校へ支払う入学金は、全て記入するのでしょうか?
【答2】
今年度の学習活動に要した経費(学習塾費、模試代など)は、記入してください。入試当日に要する費用(受験料など)以降のものは、翌年度の学習活動に関係するものなので調査対象外となり、回答しないでください。

【問3】
学校で、正規のカリキュラムとは別に補習授業があり、受講者は補習費を支払っています。この費用は、どう回答すればよいですか?
【答3】
「B-1-d 補助学習費-その他」へ記入してください。補習授業が正規のカリキュラムではなく、また、実施の有無が学校によって異なるため、学校外活動費として取り扱います。

どれくらい信用できるデータなのか、考えてみることが大事

各項目を細かく検証してみましょう。

【問1】では、タブレットを子どものために購入したご家庭もあるでしょうが、親が持っているものを利用することもあるでしょう。また、兄弟がいる場合は共有で使わせることもありますし、費用となっていない可能性があります。

次に【問2】ですが、入試当日に要する費用、いわゆる受験料が、その年の費用でなく、翌年度に含まれると、その年にかかった費用が少なく計算されるのは当然です。しかし、保護者からすると、受験料など入試にかかった費用は当然その年の費用になっているはずです。この注意書きを守るかどうかで、金額にばらつきが出る可能性があります。

最後に、【問3】です。学校での補習授業は学校で学習するので、学校教育費の中に含まれると、金額を記載される方がいるはずです。ところが、学校でかかった授業料は学校側が回答するので回答不要です。そこを知っているか知らないかで、この場合も金額にばらつきが出るでしょう。


いかがでしょうか。子どもの教育費に一番よく引用されるデータではあるのですが、すべての保護者が記載要項やQ&Aをじっくりと確認しているか、正確に回答しているかどうかは怪しいため、実情にあっているかどうかはかなり疑問が残ります。

平均値にこだわりすぎず「我が家の場合」を考える

この調査では、幼稚園から高校までの15年間に子どもにかかるお金の総額があげられています。そのうち、高校のみ私立に進学したケースの場合は、7,159,185円になります。

私たちファイナンシャルプランナーがセミナーや相談で、「子どもの教育費には一体いくらあると安心ですか」と質問された場合、この文部科学省の数字をあげることがよくあります。しかし、よく取り上げられて引用されているような有名なデータでも、その数字が絶対に正しいわけではありません。

他人の家計が気になったり、自分の家計が心配になったりというのは、子どもをお持ちの家庭にとっては当然のことです。けれども、人は人、自分は自分ということで、ネットやニュースの数字にまどわされることなく、「我が家なりの教育費」を考えていただきたいと思います

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#データの見方 , #ファイナンシャルプランナー , #當舎緑
[當舎 緑]
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プロフィール : 當舎 緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP®

一男二女の母。阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。得意テーマは、教育資金の準備方法、社会保険の仕組み、エンディングノートの作り方、これから始めるやさしい終活、成年後見の活用方法、銀行を介さない家族信託の仕組みなど。著書は、『3級FP過去問題集』(金融ブックス)『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)など。

子どもにかけるお金を考える会メンバー

http://childmoney.grupo.jp/

一般社団法人かながわFP生活相談センター理事

http://kanagawafpsoudan.jimdo.com/

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