





シャーベット作りから始める夏休みの自由研究
夏休みの自由研究になやんでいる人はいませんか?不思議なことや、知りたいことはたくさんあっても、それを研究につなげていくのは大人にとっても難しいことです。ここでは、シャーベット作りからスタートして、その中で生まれる疑問を整理しながら研究にしていく方法をしょうかいします。ぜひちょう戦してみてくださいね。
<準備するもの>
・りんごジュースやオレンジュースなど | 100ミリリットル | |
・大きめの保存ぶくろ(チャックつき) | 1まい | *氷と食塩を入れます |
・小さめの保存ぶくろ(チャックつき) | 1まい | *ジュースを入れます |
・氷 | 200グラム | |
・食塩 | 30グラム | |
・調理用温度計 | ||
・記録用の紙 |
ジュースをこおらせてシャーベットを作ったことはありますか?ジュースのこおりかたと水のこおりかたは少しちがいますよね。今回は、ジュースをなめらかにこおらせて、おいしいシャーベットを作る方法を調べます。
<こおるってどういうことだろう>
研究を始める前に、まずは疑問(調べたいこと)の中に出てくる言葉を調べます。「ジュースをなめらかにこおらせる方法」を調べたいなら、まずはこおるってどういうことなのかを調べた方がよさそうです。本やインターネットで調べてもいいし、専門家に聞いてもいいでしょう。例えば水がこおると氷になりますが、そもそも水は、目に見えないほど小さな分子(ぶんし)というつぶでできています。分子はいつも動いていて、温度が高いと元気に動きまわり、温度が低くなるとだんだん動きがゆっくりになります。温度が低くなると、この分子たちの動きがとても遅くなって、きれいに並んでくっつきます。その結果、水は液体から固体、つまり氷に変わるのです。こおり始める温度は、水の場合はふつうの気圧では0度です。
<熱とこおることの関係>
何かがこおるときには、熱がにげていって温度が下がらなくてはいけません。ジュースをこおらせるには、そのジュースの熱を外へにがしてあげなくてはいけないので、シャーベットを作るならジュースの熱をにがす方法を考えなくてはいけません。
<氷と塩を混ぜると何が起こる?>
氷に食塩をまぜると、氷だけのときよりも温度がぐんと下がります。これは、塩が氷の表面でできた水にとけることで氷がさらにとけやすくなり、その時にまわりから熱をうばっていくからです。このしくみを使えば、冷凍庫よりももっと冷たい場所を作ることもできます。今回はこのしくみでジュースの熱をにがして、シャーベットを作ることにしましょう。
<シャーベットを作ろう>
①ジュースを入れる
小さめの保存ぶくろにジュースを入れて、しっかり閉めます。ポイントは、なるべく空気が入らないようにすることです。空気は熱を伝えにくい性質があるため、空気がたくさん入っているとジュースの熱がにげにくくなってしまいます。つまり、空気をぬいた方がジュースが速く冷たくなるのです。
②氷と食塩を入れる
大きめの保存ぶくろに氷と食塩をいれます。実験が始まる時の氷の温度を測っておきましょう。
③氷と食塩を混ぜる
ジュースが入った小さめの保存ぶくろを、氷と食塩が入った大きめの保存ぶくろにいれます。氷の表面にしっかり食塩がつくように、シャカシャカふってまぜます。1分ごとに、氷のすき間に温度計をさして、氷のまわりの温度を測ってみてください。どんどん温度が下がっていくのがわかります。
④シャーベットの完成
ジュースが白っぽくなって固まってきたら、シャーベットの完成です。
<観察のポイントと研究の発展のヒント>
①氷のとける速さと食塩の量に関係はある?
食塩の量を減らしたり増やしたりしたら、氷がとける速さは変わるのでしょうか。
②冷とう庫でこおらせた時とのちがい
完成したシャーベットはなめらかです。冷とう庫でこおらせた時と同じでしょうか。ちがうとしたらなぜでしょう。
③こおらせる物とこおり方のちがい
オレンジジュース、りんごジュース、牛乳、お茶など、どれも同じ速さでこおるのでしょうか。こおった後の様子はどうでしょうか。なめらかさにちがいはあるでしょうか。
今回は、シャーベットを作るという楽しくておいしい実験から、たくさんの発見ができました。もっと知りたいことが出てきたら、研究の続きを進めてくださいね。

- プロフィール : 中牟田 宴子(なかむた やすこ)
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家庭教育研究家。
九州大学卒業。大学では認知心理学を専攻。
大学卒業後は大手メーカーでシステムエンジニアとしてプログラムの設計と開発を担当する。その後育児期間を経て現在は、認知心理学を基に数学と科学などのつながりを学べる「算数・数学塾」を企画運営しながら家庭教育を研究。子どもたちが不思議なものに出会って驚いたり感動したりする瞬間に立ち会えるのが幸せ。
2012年より5年間東京大学大学院工学系研究科で工学教育に関わった。
NPO法人センス・オブ・ワンダーの代表を務め、東京大学工学部や研究機関と共に子どものためのサイエンスカフェなどを企画開催。
認知心理学に基づくナカムタメソッドの研究開発を行い、算数とアート、理科などが融合したコンテンツの開発と普及を行っている。
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「算数・数学塾」のWEBサイト
現在、さいたま市にて開校している「さんすう大好き!」が生まれる教室
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「算数・数学塾」の企画・運営の中で発見したことや、二児の母として子どもを育てる上で実践してきた家庭学習のヒントとその成果をお伝えする講座。
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