作ってさわって割合を実感しよう
「20本シュートを打って8本のシュートが入ったら成功の確率は何パーセント?」とか、「昨年は20個収穫できたトマトが今年は24個収穫できたけど何パーセント増えたの?」など、「割合」は身近に使われていますが、直接量を表さない数なのでわかりにくく感じます。
今回は「割合」について、簡単な道具を作って楽しく学びます。いくつかの問題を解きながら「割合」の意味を実感するのが今回の目標です。ここでは折り紙で作るわくが「割合」を表し、わくに乗っている玉が「くらべられる量」や「もとにする量」を表します。
<準備するもの>
・折り紙(15cm×15cm)2枚(ちがう色で)
・半球になっているシールなど 80枚
*シール以外でも、おはじきなど指でつまみやすいものであれば何でもよいです
・はさみ
<割合が見える道具を作ろう>
①折り紙を16等分します
2枚の折り紙を、縦、横方向にそれぞれ4等分して、折り目に沿って切りはなします。16枚の正方形ができました。割合を表すわくとして使います。
②半球になっているシールをはり合わせます
半球になっているシールを2枚はり合わせて球にします。80枚のシールを使って40個の球を作っておきます。これが量を表す玉になります。これで完成です。
この道具では、正方形のわく1枚が割合の0.1、つまり百分率でいうと10パーセントを表します。このわくの数は全体との関係しか表さないため、ものの量は表しません。一方、玉は人や金額、ものの重さなどの量を表します。
この道具が使える場面は、割合が0.1や0.2など、つまり何十パーセントの時と限られていますが、さわったり見たりしながら割合の意味を知ることができます。
道具をセットする人は、問題を解く前に答えを知っておく必要がありますので、親子で一緒に挑戦しましょう。追加の問題の作り方もご紹介します。
<割合を使った場面を作ってみよう>
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20人をもとにした時の8人の割合は?
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<わくと玉をセットしよう>
*おうちの人にセットしてもらってください
①わくを10個並べます
1個のわくは割合の0.1(10パーセント)を表すので、10個並べて全体を割合の1(100パーセント)とします。
②玉を並べます
問題は「20人をもとにした」となっているので、20人という量が割合の1(100パーセント)になります。わくは全体に対して0.1の割合を表すので、1個の枠に乗せる人の量(人数)は「20÷10=2」で2人になり玉を2個ずつのせていきます。
<道具を使って考えてみよう>
*ここからは自分で問題を解いていきましょう
①人の量と割合について確認します
20人をもとにするということは、20人を割合の1(100パーセント)として考えるということです。1個のわくは1の10等分で割合の0.1を表すので、人の量も10等分した2人(2個の玉)が乗っています。
②8人は何割になるか数えてみます
8人を数えてみると、わく4個分に乗っていることがわかります。つまり割合は0.4で40パーセントとも言います。
③式を立てて計算します
道具を見ながら式を確認して見みましょう。8人は「くらべられる量」で20人は「もとにする量」ですから、割合は「8÷20=0.4」で計算することができます。0.4が枠の数だと分かるようになれば、割合の意味も理解できてきています。
<追加の問題の作り方>
*おうちの人に作ってもらいましょう
①「もとにする量」を決めます
玉を並べやすいように「もとにする量」は10の倍数にします。例えば30人にします。
②「くらべられる量」を決めます
1個のわくに並べる玉の数を計算して、その倍数にします。1個のわくに並べる玉の数は「30÷10=3」で3個なので、例えば5倍にして「15人」にします。
③問題を作ります
「30人をもとにした時の15人の割合は?」となりました。他には以下のような問題が作れます。
・20キログラムをもとにした12キログラムの割合は?
・30本をもとにした18本の割合は?
<割合が1より大きい場面を見てみよう>
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20人をもとにした時の24人の割合は?
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<わくと玉をセットしよう>
*おうちの人にセットしてもらってください
20人を1とすると24人は1よりも大きい割合になります。つまりわくは10個では足りなくなります。おうちの方はセットする前に先に計算しておく必要があります。
①計算してわくを並べます
20人という量が割合の1になるので24人は「24÷20=1.2」で1.2という割合です。枠は10個で1の割合を表しますから12個の枠を並べます。10個以上の枠は違う色のものにするとわかりやすくなります。
②玉を並べます
問題は「20人をもとにした」となっているので、先ほどと同じようにわく1個に乗せる人の量(人数)は2人です。玉を2個ずつのせていきます。
<道具を使って考えてみよう>
*ここからは自分で問題を解いていきましょう
①人の量と割合について確認します
1個のわくは割合の0.1を表すので、今回も1個のわくには2人(2個の玉)が乗っています。
②24人はどのくらいの割合になるか数えてみます
24人を数えてみると、わく12個分に乗っていることがわかります。つまり割合は「0.1×12=1.2」で120パーセントです。割合が1を超えるということは100パーセントを越えるということで、それは「もとにする量」を超えることでもありますね。
③式を立てて計算します
道具を見ながら式を確認して見ましょう。24人は「くらべられる量」で20人は「もとにする量」ですから、割合は「24÷20=1.2」で計算できます。12個のわくになりました。
<追加の問題>
*おうちの人に作ってもらいましょう
先ほどと同じように問題を作ることができます。
・20人をもとにした30人の割合は?
・30キログラムをもとにした36キログラムの割合は?
・40枚をもとにした44枚の割合は?
今回の道具では割合をわくとしてみて、実際の量を玉で確認することができます。割合を難しく感じるのは割合が量を表していると勘違いしてしまうことにもあります。道具を見たりさわったりして割合と量の違いを実感してくださいね。
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- プロフィール : 中牟田 宴子(なかむた やすこ)
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家庭教育研究家。
九州大学卒業。大学では認知心理学を専攻。
大学卒業後は大手メーカーでシステムエンジニアとしてプログラムの設計と開発を担当する。その後育児期間を経て現在は、認知心理学を基に数学と科学などのつながりを学べる「算数・数学塾」を企画運営しながら家庭教育を研究。子どもたちが不思議なものに出会って驚いたり感動したりする瞬間に立ち会えるのが幸せ。
2012年より5年間東京大学大学院工学系研究科で工学教育に関わった。
NPO法人センス・オブ・ワンダーの代表を務め、東京大学工学部や研究機関と共に子どものためのサイエンスカフェなどを企画開催。
認知心理学に基づくナカムタメソッドの研究開発を行い、算数とアート、理科などが融合したコンテンツの開発と普及を行っている。
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