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category:勉強方法
見つかる、キミの未来。中学校・高等学校 進学NEWS
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2024.03.06
実験と工作で楽しく学ぶ算数塾 25回目

作ってさわって、旅人算(速度)にちょうせん!

「速度」は苦手な人も多くいるのですが、なんとなく覚えて乗り切ればいいと思っていると、難しい場面では解けなかったりします。今回は時間をコマ送りにする方法で、「速度」の意味をしっかり理解していきます。意味を理解すると色々なひらめきも起こりますよ。

「速度」を使う場面の一つとして「旅人算」と呼ばれるものがあります。出会ったり、追いついたりと場面が楽しいので、今回はこの「旅人算」について、道具を作って一緒に学びます。時間を止めて観察できるので、「速さ」をじっくり学ぶことができるはずです。

<準備するもの>

・折り紙〈15cm×15cm〉2枚(ちがう色で)
・工作用紙 1枚
・はさみ
・ホチキス
・定規

<速度が見える道具を作ろう>

時間をコマ送りにして速度が見える道具を作ります。

①折り紙を16等分、32等分します

202403-02b.jpg

1枚目の折り紙は、縦、横方向にそれぞれ4等分して、折り目に沿って切りはなします。
2枚目は、16等分までしたものをさらに2等分して32等分にします。折り目に沿って切りはなしてください。

②工作用紙を切ります

工作用紙を1辺が4センチメートルの正方形になるように切ります。これを全部で12枚作りましょう。

③工作用紙をつなぎます

202403-02c.jpg

となりと少しすき間を空けて、ホチキスでつなぎます。すき間を空けることで動かしやすくなります。12枚を1列につないだら完成です。

この道具では、工作用紙1枚が決まったきょりにを表し、切った折り紙1枚は1分間に進むきょりを表します。
この道具を使って解くことができるのは限られた場面ですが、時間を止めながら意味を考えられるのでわかりやすくなります。

<直線で出会う問題>

─────────────────────────────
〇さんは自分の家から□さんの家へ、□さんは自分の家から〇くんさんの家へ、同時に出発しました。
〇さんと□さんの家は1080メートルはなれています。
〇さんは分速120メートル、□さんは分速60メートルの速さで進みます。
2人は出発して何分後に出会うでしょう。
─────────────────────────────

今回の道具は、「分速60メートル」と「分速120メートル」のように、片方の速度がもう片方の2倍になっている場面で使えます。

<工作用紙をセットしよう>

*おうちの人にセットしてもらってください

①工作用紙できょり(道)を表します

1枚の工作用紙は、速度が速い方(今回は分速120メートル)が1分間に進むきょりを表します。つまり今回は、工作用紙1枚が120メートルになります。

②1080メートルの道を作ります

1枚の工作用紙は120メートルで、2人の家のきょりは1080メートルなので、「1080÷120」を計算すると何枚並べればよいかがわかります。結果は9枚になったので、9枚の工作用紙をまっすぐ広げます。余った3枚は折りたたんでおきます。これで1080メートルの道の準備ができました。

<折り紙を使って問題を解いてみよう>

①折り紙で進んだきょりが見えるようにします

大きい折り紙1枚は、速度が速い人○さんが1分間に進むきょりを表します。今回は120メートルです。
小さい方は、速度が遅い□さん人が1分間に進むきょりを表します。今回は60メートルです。

②1分間に進むきょりを調べます

202403-02d.jpg

左側が○さんの家で、右側が□さんの家です。○さんは分速120メートルなので、左はしに大きい方の折り紙を1枚乗せます。□さんは分速60メートルなので、右はしに小さい折り紙を1枚乗せます。これが2人がそれぞれ1分間に進んだきょりです。

③今後を予想します

左右に折り紙を乗せていくと、2人のきょりは1分間で「左側120m+右側60m」ずつ縮まっていくのが見えます。この予想ができれば、色んな方法で問題を解くことができそうです。

④時間を進めます

202403-02e.jpg

2分、3分と時間を進めてみましょう。6分まで並べたところで、2人の間にはすき間がなくなりました。つまり2人は6分後に出会えるのです。
さらにしきつめ終わった道を見ると、2人が出会うまでに進んだきょりは、○さんが「120m×6分」で720メートル、□さんが「60m×6分」で360メートルと、○さんが□さんの2倍になっていることも分かります。

速度の問題を観察することができましたか?

今回は片方の速度がもう片方の速度の2倍の問題でしたが、もし片方の速度がもう片方の速度の3倍になれば折り紙の幅も同じように3倍にすることでこの道具が使えます。例えば、分速240メートルの自転車と、分速80メートルで歩く人の場合は、工作用紙1枚が240メートルの道になり、大きい折り紙1枚も同じく240メートルになります。小さい折り紙は、大きい折り紙の3分の1の大きさになるように切って80メートルを表すようにします。

難しく感じる速度の問題も、こうして見えるようにすると解き方がわかります。直線の道ではなく、輪にすると、よく見かける池の周りの場面も調べることができますよ。今回は「旅人算」の中でも「出会い算」とよばれるものでしたが、他の「旅人算」にも挑戦してみてくださいね。



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[中牟田 宴子]
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プロフィール : 中牟田 宴子(なかむた やすこ)

家庭教育研究家。

九州大学卒業。大学では認知心理学を専攻。

大学卒業後は大手メーカーでシステムエンジニアとしてプログラムの設計と開発を担当する。その後育児期間を経て現在は、認知心理学を基に数学と科学などのつながりを学べる「算数・数学塾」を企画運営しながら家庭教育を研究。子どもたちが不思議なものに出会って驚いたり感動したりする瞬間に立ち会えるのが幸せ。

2012年より5年間東京大学大学院工学系研究科で工学教育に関わった。

NPO法人センス・オブ・ワンダーの代表を務め、東京大学工学部や研究機関と共に子どものためのサイエンスカフェなどを企画開催。

認知心理学に基づくナカムタメソッドの研究開発を行い、算数とアート、理科などが融合したコンテンツの開発と普及を行っている。



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「算数・数学塾」の企画・運営の中で発見したことや、二児の母として子どもを育てる上で実践してきた家庭学習のヒントとその成果などをつづったブログです。

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