夏休みのお出かけで速度を調べて自由研究しよう!
夏休みには家族で旅行に行くこともあると思いますが、せっかくならどんな道(路線)を通って、どのくらいのきょりを進んできたのかが分かれば、さらに旅も楽しくなることでしょう。旅の様子を記録する時には、時刻のデータも記録しておくと研究に発展しそうです。
<準備するもの>
・自由帳やスケッチブックなど自由に書きこめるもの 1冊
・地図帳や地図アプリケーションなど
・筆記用具
<目的地を確かめよう>
旅行に出かける前に、目的地を確かめましょう。目的地は、出発地点(自分の家)からどちらの方角にあるでしょうか。また、どのくらいのきょりでしょうか。休けいする場所が分かっているなら、その場所も確かめておくとよいです。きょりは地図帳を使って調べるのもよいですし、例えば地図アプリケーションのグーグルマップなどを利用してもよいですね。
パソコンでグーグルマップを使うと、簡単にきょりを調べることができます。最初にスタート地点で右クリックをして「距離(きょり)を測定」を選びます。次に通る場所をクリックしながら進み、最後に目的地をクリックします。それぞれの区間のきょりも、合計のきょりもわかります。スマートフォンでグーグルマップを使う場合は、2地点のきょりだけ調べることができます。また、地図帳できょりを調べることもできます。倍や比を学んでいない場合は、おうちの人にきょりの計算を手伝ってもらいましょう。
<移動を記録しよう>
移動する時には、地図で地名を確認しながら通った時刻をノートなどに記録していきます。時刻を細かく記録しなくても、家を出発した時刻と目的地に到着した時刻だけでもよいでしょう。記録するのにおすすめなのはスケッチブックです。移動の記録だけでなく、絵もかくと絵日記のようになります。写真をはってもよいですね。
<かかった時間を計算しましょう>
例えば、八王子インターチェンジ(八王子市)から高速道路を使って茅ヶ崎パーク(茅ヶ崎市)まで移動したとします。出発時刻と到着時刻は次のようになりました。移動にはどのくらいの時間がかかったでしょうか。
・出発時刻 午前11時20分
・到着時刻 午後 0時 16分
かかった時間は、到着時刻から出発時刻をひくことで求められます。ところが、0時16分からから20分はひくことができません。ここで役に立つのが時刻を24時制で表す方法です。「午後0時16分」は「12時16分」と表せるので「12時16分-11時20分」を計算すればよいことになります。
時間の計算は、六十進数(60のまとまりでくり上がる)と十進数(10のまとまりでくり上がる)が混ざっているためややこしく感じると思いますが、ひっ算を使うとすっきり解くことができます。
まずは分の位を計算をします。16から20はひけないので、時間の位から借りてきます。「1時間」借りてきて分に直すと「60分」になります。このくり下がりは六十進数が基になっています。分の位の16は「16+60」で76に増えたので「76-20」を計算します。ここの計算はいつも通りの十進数が基になっていますね。分の計算の結果は56となりました。時間の位は「11-11」で0ですから、かかった時間は56分です。
<速度を計算しよう>
移動した速度(=時速)を計算しましょう。時速とは「1時間あたりで進んだきょり」のことですから、「きょり÷時間」で求めることができますね。
八王子インターチェンジから茅ヶ崎パークまでのきょりは約50キロメートルです。また、かかった時間である56分を時間の単位で表すと「56/60時間」となります。
時速を求めるために「きょり÷時間」つまり「50キロメートル÷56/60時間」を計算します。結果は分数では375/7となり、これを「375÷7」として計算すると53.57...となって、時速は約54キロメートルになります。ほとんど高速道路で移動しているにしては速度はゆっくりですね。途中の渋滞で時間がかかったからだと考えられます。
<さらに調べてみよう>
ここでは、出発地点から到着地点までの速度を計算しましたが、細かく地点を区切ってそれぞれの速度を計算してみると面白い結果がでるかもしれません。夏休みの道路は渋滞しているところもありますから、場所によって速度はかなりちがってくることでしょう。
渋滞が起こりやすい場所には何か特ちょうがあるかもしれません。例えば、高速道路などでは坂道だと気づかないくらいのゆるやかな上り坂では渋滞が発生しやすいことがわかっています。東京大学で渋滞学を研究されている西成活裕先生によると、渋滞は道路だけでなく人の体の中の血液の流れやたんぱく質を合成する時にも起こるのですから面白いですよね。色々と調べて楽しい夏休みにして下さいね。
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- プロフィール : 中牟田 宴子(なかむた やすこ)
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家庭教育研究家。
九州大学卒業。大学では認知心理学を専攻。
大学卒業後は大手メーカーでシステムエンジニアとしてプログラムの設計と開発を担当する。その後育児期間を経て現在は、認知心理学を基に数学と科学などのつながりを学べる「算数・数学塾」を企画運営しながら家庭教育を研究。子どもたちが不思議なものに出会って驚いたり感動したりする瞬間に立ち会えるのが幸せ。
2012年より5年間東京大学大学院工学系研究科で工学教育に関わった。
NPO法人センス・オブ・ワンダーの代表を務め、東京大学工学部や研究機関と共に子どものためのサイエンスカフェなどを企画開催。
認知心理学に基づくナカムタメソッドの研究開発を行い、算数とアート、理科などが融合したコンテンツの開発と普及を行っている。
家庭だから伸ばせる子どもの才能
「算数・数学塾」の企画・運営の中で発見したことや、二児の母として子どもを育てる上で実践してきた家庭学習のヒントとその成果などをつづったブログです。
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現在、さいたま市にて開校している「さんすう大好き!」が生まれる教室、 「算数・数学塾」のWEBサイト
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