「分」を「時間」にかえる時計を作ろう
速度を求めるには距離と時間が必要です。ですが、時速を求めたいのに時間が分で表されていたり、分速を求めたいのに時間が秒で表されていることは現実世界でもよくあります。
速度を求める時には、自在に秒を分にかえたり、分を時間にかえたりできることが大切ですよね。でもこれは慣れていないと結構難しいのです。今回は、分を時間にかえられる楽しい時計を作ります。仕組みを目で見ながら時間の単位を変換する方法を学びましょう。
<準備するもの>
・色画用紙又は折り紙(15cm×15cm) 2枚
*書いた文字が見えるような色を2色選んでください
・色画用紙又は折り紙(5cm×0.7cm) 1枚
*針になります
・定規
・コンパス
・はさみ
・のり
・ペン
<時速を求めたいのに時間が分になっているケース>
「車で20分走ると15キロメートル離れた動物園に着きました。この車は時速何キロメートルで走ったでしょう。」
このような場面は日常でも見られます。1時間も走っていない車のデータを基に時速を考える問題です。みなさんはどのように考えますか? 時速とは1時間あたりに進む距離のことです。距離を時間でわればよいのですが、この場合は時間の単位が分になっていますからすぐに時速は計算できません。分を時間に換える必要があります。
<分を時間に換える方法>
20分を時間で表す方法を考えてみましょう。20分は1時間よりも短い時間ですから、単位を時間に換えると1よりも小さい数になることは予想できます。1時間は60分なので、20分が60分のどのくらいの割合に当たるのかを考えれば時間で表すことができそうです。
割合は「もとにする量」でわって求めるので「20÷60」を計算します。答えは60分の20で、約分すると3分の1になり、20分は3分の1時間ということがわかりました。同じように秒を分に換えることもできます。
<「分」を「時間」に換える時計を作ろう>
分を時間に換えることができる時計を作りましょう。分を時間で表したものは割合を意味するので、円でみるととても分かりやすくなります。
①文字ばんと長い針用の円を切る
色画用紙を半径6センチメートルと4.5センチメートルの円に切ります。大きい方の円は文字ばんになり、小さい方の円は長い針用の円になります。この時、円の中心にはコンパスの針を使って穴を少し大きめに開けておきます。針用の色画用紙は少し先がとがるように切っておきます。
②2つの円に切り込みを入れます
円周から中心に向かってまっすぐ切込みをいれます。文字ばんには、切り込みから0.5センチメートル離れたところに1辺が1.5センチメートルの窓を作ります。上の部分は切らずにつながったままにしておきましょう。ここが時間を確認する窓になります。
③文字ばんと長い針用の円を組み合わせます
長い針用の円の上に文字ばんを置き、切込みを上に向けてはさむように組み合わせます。中心に開けた穴どうしがうまくひっかかるように調整してください。先をとがらせた針用の色画用紙は長い針用の円の切り込みの部分に横幅の半分が重なるようにはりつけます。
④文字ばんに数字を書きます
文字ばんの切り込みの裏側をセロハンテープではり合わせます。長い針用の円が動くように、上から1センチメートルだけはるようにします。 *写真の「この裏」の部分です。
文字ばんの外側に1から12までの数字を書きます。
⑤窓の中に時間を分数(ぶんすう)で書きます
この針は時計の長い針を表しています。針の位置に合わせて時間を分数(ぶんすう)で書きましょう。
例えば長い針の位置が「1」にある場合は5分ですから時間で表す場合は「5÷60」で60分の5となり約分すると12分の1になります。写真のように長い針が「6」の場合は30分ですから「30÷60」となり2分の1時間ということがわかります。ちょうど円の半分の位置に長い針が来ていて2分の1ということが見た目にもわかります。
長い針の位置と窓の中の時間の関係をまとめると表のようになります。窓の中に時間を分数(ぶんすう)で書き込んだら完成です。
長い針の位置 | 時間 |
---|---|
1(5分) | 1/12 |
2(10分) | 1/6 |
3(15分) | 1/4 |
4(20分) | 1/3 |
5(25分) | 5/12 |
6(30分) | 1/2 |
7(35分) | 7/12 |
8(40分) | 2/3 |
9(45分) | 3/4 |
10(50分) | 5/6 |
11(55分) | 11/12 |
分を時間で考える時には60を「もとにする量」とした割合で考えることが大切です。分を時間にかえたら、長い針を分に合わせて窓の中をのぞいてみましょう。この時計を使って答えを確かめて、さらに長い針用の円の大きさの変化を確認すると、分数の意味がわかるし記憶に残ることでしょう。速度の問題も得意になると思います。
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- プロフィール : 中牟田 宴子(なかむた やすこ)
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家庭教育研究家。
九州大学卒業。大学では認知心理学を専攻。
大学卒業後は大手メーカーでシステムエンジニアとしてプログラムの設計と開発を担当する。その後育児期間を経て現在は、認知心理学を基に数学と科学などのつながりを学べる「算数・数学塾」を企画運営しながら家庭教育を研究。子どもたちが不思議なものに出会って驚いたり感動したりする瞬間に立ち会えるのが幸せ。
2012年より5年間東京大学大学院工学系研究科で工学教育に関わった。
NPO法人センス・オブ・ワンダーの代表を務め、東京大学工学部や研究機関と共に子どものためのサイエンスカフェなどを企画開催。
認知心理学に基づくナカムタメソッドの研究開発を行い、算数とアート、理科などが融合したコンテンツの開発と普及を行っている。
家庭だから伸ばせる子どもの才能
「算数・数学塾」の企画・運営の中で発見したことや、二児の母として子どもを育てる上で実践してきた家庭学習のヒントとその成果などをつづったブログです。
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現在、さいたま市にて開校している「さんすう大好き!」が生まれる教室、 「算数・数学塾」のWEBサイト
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