密度を学んでペーパーウェイトを作ろう
混みぐあいというのはどのようにして比べたらいいと思いますか? 例えば海辺で魚と貝を見つけたとします。たくさん集まっている場所とそうでない場所があります。2平方メートルの中に魚と貝を合わせて8個見つけた場合と、5平方メートルに20個見つけた場合ではどちらが混みあっているのでしょう?
これらは簡単には比べられなさそうですね。なぜなら面積も個数もちがっているからです。比べる場合には面積か個数をそろえなくてはいけません。
今回は密度を計算して混みぐあいを比べ、小さな海の世界を閉じ込めたペーパーウェイトを作ります。厚めのアクリル板を使いますので、光の屈折で飾ったものが浮き上がって見えます。ペーパーウェイトというのは紙が飛ばないようにするための重しのことですが、飾りとしても使えます。
<準備するもの>
アクリルスタンプ台(5cm×8cm×0.9cm) 1個
*百円ショップで購入できます
・クラフトバンド(青色)10cm 1個 または色画用紙(青色)1.5㎝×10cm 1枚
・クラフトバンド(白色)10cm 1個 または色画用紙(白色)1.5㎝×10cm 1枚
・クラフトバンド(青色)28cm 1個 または色画用紙(青色)1.5㎝×10cm 1枚
・クラフトバンドや色画用紙など(飾り用) 好きな色を適量
・工作用紙 5cm×8cm 1枚
・はさみ
・定規
・木工用ボンド
<混みぐあいを比べよう>
混みぐあいを比べるにはどうしたらよいでしょう? いっしょに小さな海辺の世界をのぞいて考えてみましょう。
たて10センチメートル、横12センチメートルの小さな海辺(アの海辺)には、魚と貝が合わせて24個あります。たて8センチメートル、横10センチメートルの方(イの海辺)には10個あります。混みぐあいを比べるにはどのようにしたらよいでしょう?
どちらも同じ面積ならば魚と貝の数を比べれば混みぐあいがわかりますね。まずは面積を計算してみましょう。
<面積を計算しよう>
アの海辺の面積は「10×12=120」で120平方センチメートルになります。イの海辺の面積は「8×10=80」なので80平方センチメートルです。同じ面積ではありませんので、魚と貝の数を比べるだけでは混みぐあいは比べられないようです。
<混みぐあいを数で表そう>
もし混みぐあいを数で表すことができれば比べられそうです。混みぐあいを表す方法は主に2つあります。
①1個でどのくらいの面積を使っているか
1つ目は、魚か貝の1個が占める(使っている)面積を計算する方法です。
アの海辺では120平方センチメートルの中に魚と貝が24個あるので「120÷24=5」となり、5平方センチメートルの中に魚か貝が1個あることがわかります。イの海辺では「80÷10=8」で、8平方センチメートルの中に1個あることがわかります。
比べると、5平方センチメートルの方がせまいので、アの海辺の方が混んでいることになります。
②1平方センチメートルあたりに何個あるか
2つ目は、1平方センチメートルあたりに魚か貝が何個あるかを計算する方法です。
この方法では、アの海辺では「24÷120=0.2」となり、1平方センチメートルあたり0.2個あることがわかります。イの海辺では「10÷80=0.125」となり、1平方センチメートルあたりは0.125個ですから、やはり、アの海辺の方が混んでいるという結果になりました。
このように混みぐあいを表す方法は2つありますが、特に②の方法がよく使われていて、これを密度といいます。特に人についての密度を人口密度と呼びます。
<同じ密度にしよう>
密度を使ってペーパーウェイトを作りましょう。にぎやかな方が楽しそうなので、アの海辺と同じ密度にしたいと思います。ここで作る小さな海辺の大きさは、たて5センチメートル、横8センチメートルです。
①面積を計算する
面積は「5×8=40」で40平方センチメートルです。
②同じ密度にする
アの海辺には1平方センチメートルあたり0.2個の魚か貝がありました。40平方センチメートルの場合は「0.2×40=8」で8個の魚か貝を置くと同じ密度になることがわかります。
<ペーパーウェイトを作ろう>
①台紙を作ります
写真左上のようにたて5センチメートル、横8センチメートルの台紙を作ります。写真はクラフトバンドをつないだものになっていますが、工作用紙でもよいでしょう。(<準備するもの>のところでは工作用紙にしています。)
②波と砂浜を作ります
10センチメートルに切ったクラフトバンドか色画用紙を波のように曲げて台紙にはりつけます。写真左下のように3個並べてはりつけてください。
③魚と貝を作ります
魚や貝を8個、好きな色で作ります。長さはだいたい1センチメートルがよいでしょう。
④わくを作ります
アクリルスタンプ台に28センチメートルのクラフトバンドか色画用紙を巻き付けるようにして、重なったところをはり合わせ、写真右上のようなわくを作ります。
⑤かざります
青い波と白い砂浜の上に魚や貝をはりつけます。
⑥アクリルスタンプ台をかぶせます
台紙を囲むように木工用ボンドでわくをはりつけます。わくの中にアクリルスタンプ台をはめたら完成です。
アクリルスタンプ台を通った光は曲がるので、魚や貝が浮き上がって見えます。不思議ですね。
魚や貝の数を増やしたり、減らしたり、密度を考えながら楽しんでください。
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- プロフィール : 中牟田 宴子(なかむた やすこ)
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家庭教育研究家。
九州大学卒業。大学では認知心理学を専攻。
大学卒業後は大手メーカーでシステムエンジニアとしてプログラムの設計と開発を担当する。その後育児期間を経て現在は、認知心理学を基に数学と科学などのつながりを学べる「算数・数学塾」を企画運営しながら家庭教育を研究。子どもたちが不思議なものに出会って驚いたり感動したりする瞬間に立ち会えるのが幸せ。
2012年より5年間東京大学大学院工学系研究科で工学教育に関わった。
NPO法人センス・オブ・ワンダーの代表を務め、東京大学工学部や研究機関と共に子どものためのサイエンスカフェなどを企画開催。
認知心理学に基づくナカムタメソッドの研究開発を行い、算数とアート、理科などが融合したコンテンツの開発と普及を行っている。
家庭だから伸ばせる子どもの才能
「算数・数学塾」の企画・運営の中で発見したことや、二児の母として子どもを育てる上で実践してきた家庭学習のヒントとその成果などをつづったブログです。
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現在、さいたま市にて開校している「さんすう大好き!」が生まれる教室、 「算数・数学塾」のWEBサイト
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