しきつめられる図形を調べよう
小学校では三角形や四角形に始まり、様々な図形を学びます。みなさんはもう気づいているかもしれませんが、図形には平面をしきつめられるものとしきつめられないものがあります。ここでは、平面をしきつめられる図形について実験しながら楽しく調べていきましょう。
<準備するもの>
・工作用紙 1枚
・消しゴム(切ってスタンプとして使います)
・スタンプ用のインク
・じょうぎ
・はさみ
・カッターナイフ
最初に、規則正しい形について調べます。ここで言う規則正しい形というのは、辺の長さや角の大きさが全て同じ正多角形のことです。正多角形の中では、正三角形、正方形、正六角形の3種類だけが平面をしきつめられる図形だということが分かっています。
<正三角形の実験>
①スタンプを作ろう
正三角形で平面がしきつめられるのか、スタンプを作って実験してみましょう。正三角形の型紙を使ってスタンプを作ります。工作用紙から1辺が1センチメートル5ミリメートルの正三角形を切り取りましょう。これが型紙になります。
型紙を消しゴムの上に乗せてカッターナイフで正三角形を切り取ります。カッターナイフは危険ですので、必ずおうちの方と一緒に行って下さい。
②実験しよう
正三角形のスタンプを押していきます。底辺を下、とがった角を上向きにして押し、その右には向きを上下逆にして押します。
さらにその右にはまた底辺が下で角が上の向きになるように押し、その右には上下逆向きで押します。
これを繰り返していくと左右に伸びる太い線ができましたね。これを何列にも並べていけば平面をしきつめることができます。
<正六角形の実験>
①スタンプを作ろう
型紙を作ります。工作用紙に直径が1センチメートル5ミリメートルの円を描き、そこにぴったり入る正六角形を描いて切り取ります。
これを型紙として消しゴムの上に乗せ、カッターナイフで正六角形を切り取ります。
実験しよう
正六角形のスタンプを押していきます。角が上と下に来るようにして、同じ向きに横に並べて押していきます。すると左右にくる辺はとなりの六角形とくっつきますね。
その下の段にもスタンプを押していきましょう。ちょうどくぼんだ部分に角がはまることが分かります。くぼんだ部分に角がはまるようにスタンプを押していきます。
すきまなくきれいに並び平面をしきつめられることがわかりました。
次に、正三角形以外の三角形や正方形以外の四角形についても調べてみましょう。
<三角形の実験>
①スタンプを作ろう
正三角形以外の三角形を工作用紙に描いて切り、型紙を作ります。三角形はあまり大きくない方が、スタンプにした時に押しやすくなります。
型紙を消しゴムの上に置いて三角形を切り取ります。
②実験しよう
正三角形の時と同じようにスタンプを押していきます。正三角形でなくても同じように平面をしきつめられることがわかります。
<四角形の実験>
正方形や長方形は全ての角が直角で並べやすく、平面をしきつめられることは想像しやすいでしょう。ここでは正方形や長方形以外の四角形を調べてみます。
①スタンプを作ろう
正方形や長方形以外で好きな四角形を工作用紙に描いて切ります。これを型紙にして消しゴムの上に置き切り取ります。
②実験しよう
どれか1辺を下にしてスタンプを押します。その右には上下を逆向きにしてスタンプを押します。この順序でどんどんとなりにつないで押していきましょう。ここでもまた左右に伸びる太い線ができました。これを何列にも並べていけば平面をしきつめることができそうです。
さらに、しきつめた時にできた模様をじっとながめていると、例えば三角形や四角形をしきつめた中には平行四辺形ができているのが見えます。また正三角形を並べた模様をながめると正六角形が見えてきます。おもしろいですね。
今回は同じ図形を使って平面をしきつめる実験をしましたが、いくつかの形を組み合わせてしきつめることもできます。
例えばトップの写真は、物理学者のペンローズ博士が発見したペンローズ・タイルで、2種類のひし形のタイルを使って平面をしきつめることができます。このペンローズ・タイルは、規則正しく並べ続けることはできず、不規則に並べることでしきつめられるというちょっとふしぎなタイルです。
他にも色々な組み合わせで平面をしきつめられる形があります。みなさんも色々と調べて発見して下さいね。
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- プロフィール : 中牟田 宴子(なかむた やすこ)
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家庭教育研究家。
九州大学卒業。大学では認知心理学を専攻。
大学卒業後は大手メーカーでシステムエンジニアとしてプログラムの設計と開発を担当する。その後育児期間を経て現在は、認知心理学を基に数学と科学などのつながりを学べる「算数・数学塾」を企画運営しながら家庭教育を研究。子どもたちが不思議なものに出会って驚いたり感動したりする瞬間に立ち会えるのが幸せ。
2012年より5年間東京大学大学院工学系研究科で工学教育に関わった。
NPO法人センス・オブ・ワンダーの代表を務め、東京大学工学部や研究機関と共に子どものためのサイエンスカフェなどを企画開催。
認知心理学に基づくナカムタメソッドの研究開発を行い、算数とアート、理科などが融合したコンテンツの開発と普及を行っている。
家庭だから伸ばせる子どもの才能
「算数・数学塾」の企画・運営の中で発見したことや、二児の母として子どもを育てる上で実践してきた家庭学習のヒントとその成果などをつづったブログです。
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現在、さいたま市にて開校している「さんすう大好き!」が生まれる教室、 「算数・数学塾」のWEBサイト
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