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2026.08.03

通信制高校はいくらかかる?全日制高校との違いをFPがわかりやすく解説

通信制高校に通う生徒は、年々増えています。令和7年度には初めて30万人を超え、高校生の約10人に1人が通信制の生徒という状況です。「全日制との違いは何?」「学費は安いの?」など、関心を持つ保護者もいらっしゃることでしょう。この記事では、通信制高校ならではの学費の仕組みや、全日制との違い、利用できる支援制度についてFPの視点からわかりやすく解説します。
児童生徒数の推移(2000年度~)(文部科学省・国立教育政策研究所)
通信制高校生徒数の推移(2000年度~)(文部科学省・国立教育政策研究所)

通信制高校と全日制高校の違い

まずは、通信制と全日制との違いを確認してみましょう。一番大きな違いは、学習スタイルの自由度です。全日制は教室で対面の授業に出席することが必須であり、登校から下校まで時間割通りに学習を進めます。一方、通信制は、スクーリング(面接指導)や試験の日以外は、自宅等で学習します。レポート作成、テレビやインターネットで動画を視聴して学習する「自学自習」が基本です。

そして、高校を卒業するには、修業年限(いわゆる在籍期間)を満たし、規定の単位数を修得する必要があります。全日制の修業年限は3年、通信制は3年以上(3年または4年)、必要な単位は全日制、通信制ともに74となっています。さらに、全日制の多くは「学年制」を採用していますが、通信制は「単位制」です。「学年制」は、学習する教科が学年ごとに定められ、一定の学習成績が認められると単位が与えられ、進級するしくみになっています。そのため成績基準を満たさなければ「留年」となり、同じ学年をやり直さなければなりません。

「単位制」は、学年の区別がなく、3年間(又は4年間)の中で教科を選択して学習し、入学から卒業までに決められた単位数を修得すれば卒業が可能です。ただし、1年間で履修できる単位数には上限があることが一般的です。通信制高校は自由度が高いですが、自分で学習を進める力が求められるでしょう。一方、全日制高校は毎日登校し、集団生活の中で学びますが、時間の自由度は少なくなります。どちらが良い、悪いではなく、お子さんの性格や生活スタイルに合う学校を選ぶことが大切です。

通信制高校と全日制高校比較表(費用以外) F202608-02.png 通信制高校とは? | 通信制高等学校情報発信サイト(文部科学省)
高等学校の卒業に関する法令(文部科学省)
単位制高等学校について(文部科学省)

通信制高校の学費の仕組み

通信制高校の学費について、詳しく解説します。通信制の年間授業料は、その年に履修する単位の数で決まります。3年間で卒業するのであれば、1年間で25単位程度(74単位÷3年)を履修することになるでしょう。

・年間授業料=1単位あたりの授業料 × 履修単位数

授業料の他に、受験料、入学金、そして私立であれば施設設備費、諸経費(システム利用料など)がかかります。さらに特別なサポートを受けたい場合は、別途費用が発生します。それでは、通信制高校の費用について、公立と私立に分けて見てみましょう。

公立の通信制高校の学費
公立の通信制高校の学費は、経済的な負担を極めて少なく抑えられる点が大きな特徴です。東京都では、受験料950円、入学料500円、1単位あたりの授業料は336円、年間で25単位を取得する場合であれば8,400円、3年間の授業料(74単位)は総額で約3万円です。ちなみに大阪府は受験料800円、入学料500円、1単位あたりの授業料330円で、東京都と同程度となっています。

その他の費用として、教科書などの教材費がかかります。年間で2万円程度が見込まれるでしょう。公立なので施設設備費はかかりません。他に、郵便代やスクーリング(面接指導)に参加(年間20~24日程度。学校や履修科目によって異なります。)するための交通費などがかかりますが、多くの学校で制服の着用義務はなく、私服通学が一般的です。すべてを合算すると年間5万円から6万円程度の負担となるでしょう。

公立の通信制高校の学費(東京都の例) F202608-03.png 令和8年度東京都立高等学校 定時制課程・通信制課程 (東京都教育委員会)
都立高等学校、中等教育学校(後期課程)の授業料・入学料及び特別支援学校高等部の授業料について(東京都教育委員会)
制服一覧(定時制・通信制) | だから都立高(東京都教育委員会)

私立の通信制高校の学費
私立通信制高校の学費は、年間約40~100万円以上と、学校や選択するコースによって大きく異なります。差が生じる主な理由は、学習サポートの内容や通学日数です。自宅での自学自習を中心とし、スクーリングなど必要最低限の登校のみで学ぶ「通常のコース」は、比較的学費を抑えられます。一方、登校して教員の指導や学習支援を受けるコースでは、通学日数に応じて施設設備費や指導料などが加算されるため、学費は高くなる傾向があります。例えば「週5日通学コース」などを選択した場合は、年間の学費が100万円を超えるケースもあります。

私立の通信制高校の学費(例) F202608-04 ※主な私立通信制高校の学費を参考に著者作成

なお、通信制高校と提携している「サポート校」を利用する場合は、通信制高校の学費とは別にサポート校の費用が必要です。「サポート校」とは、通信制高校に在籍する生徒が、レポート作成や学習の進め方、大学進学対策などのサポートが受けられる教育機関です。卒業に必要な学習を支援する役割を担っており、登校日数やサポート内容が充実するほど費用も高くなる傾向があります。「授業料は安かったのに、サポート費用を含めると予想以上にかかった」というケースもあるため、学校説明会では3年間でかかる総額を確認しておくと安心です。

全日制高校の学費
文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」より、全日制高校の学費(学校教育にかかる費用)は、公立高校で年間約35万円、私立高校で年間約83万円となっています。入学金の他、授業料そして修学旅行代、通学定期代、制服の購入代、教科外活動費(部活動費等)などがかかっています。内訳は表の通りです。

公立・私立高等学校(全日制)における学校教育費の内訳 F202608-05.png 図出典:令和5年度子供の学習費調査_結果のポイント(文部科学省)

学費負担を軽くする支援制度

通信制高校も高校授業料無償化の対象ですが、支援額は全日制高校とは異なります。高校でかかる費用を支援する国の制度には、主に次の2つがあります。授業料を支援する「高等学校等就学支援金」(令和8年度から所得制限なし)、そして教科書代や教材費など、授業料以外の教育費を支援する「高校生等奨学給付金」(所得制限あり)です。自治体によっては独自の助成制度を実施している場合もあります。お住まいの自治体のホームページなどで確認しておきましょう。これらの支援制度は、多くが申請しなければ受給できないため、入学時や毎年度の申請時期を逃さないよう注意しましょう。

高等学校等就学支援金(授業料の支援)
高等学校等就学支援金は、高校の授業料を支援する国の制度です。利用するには学校を通じて申請する必要があり、支援金は国から学校へ直接支払われます。私立高校では、支援金が学校へ支給されるまでの間、いったん授業料を徴収し、その後還付されるケースもあります。学校によって異なるため、入学前に確認しておくと安心です。年間の支援上限額(年額)は以下のとおりです。なお、上限額を超える分は自己負担となります。

国立(全日制):11万5,200円
公立(全日制):11万8,800円
私立(全日制):45万7,200円
私立(通信制):33万7,200円

高校生等への修学支援(文部科学省)
高等学校等就学支援金・新制度【日本国籍の方用】リーフレット(文部科学省)

高校生等奨学給付金(授業料以外の支援)
高校生等奨学給付金は、授業料以外の教育費を支援する国の制度で、返済は不要です。教科書代や教材費、学用品費、通学用品費など、高校生活に必要な費用の負担を軽減することを目的としています。対象となるのは、住民税非課税世帯など一定の所得要件を満たす世帯です。支給額は世帯の収入状況や高校の種類(公立・私立、全日制・通信制など)によって異なります。


令和8年度給付額(年額) F202608-06.png (単位:円)
※年収はあくまでも目安です

高等学校等就学支援金・新制度(文部科学省)
高校生等奨学給付金(文部科学省)
高校生等奨学給付金リーフレット(文部科学省)


自治体独自の支援制度も確認を
国の制度に加え、都道府県や市区町村が独自に授業料や入学金、通学費などを支援する制度を設けている場合があります。また、自治体だけでなく、民間団体や財団法人が実施する給付型奨学金を利用できるケースもあります。支援制度は地域によって内容が異なるため、お住まいの自治体や進学予定の学校で利用できる制度を確認しておくことが、教育費の負担を軽減するポイントです。

まとめ

通信制高校の学費は、全日制よりも安くおさえることが可能です。公立か私立かで金額が大きく異なり、私立の場合、サポートの内容によっては、全日制と同程度の負担が生じる場合があります。スポーツや芸術活動にもっと集中したい。朝起きるのが苦手。集団指導よりも個別指導の方が能力を発揮できるなど、お子さまの希望や特性は人それぞれです。進路の一つの選択肢として、通信制高校も調べてみてはいかがでしょうか。

[山内 真由美]
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プロフィール : 山内 真由美(やまうち まゆみ)

ファイナンシャルプランナー(CFP®・1級FP技能士) 国家資格キャリアコンサルタント

中学生の双子の母。ファイナンシャルプランナー資格を取得後、都市銀行の支店にて個人向けに資産運用の案内を担当。現在は、東京都内の自治体にてひとり親のための家計相談、高校の保護者会にて奨学金や教育ローンの活用方法について講演している。また資産運用に関するWeb記事の執筆およびムック本の監修を担当。著書は『FPママの親と子で学ぶお金のABC・13歳からのマネーレッスン本』(河出書房新社)



J-FLEC (金融経済教育推進機構)認定アドバイザー

https://www.j-flec.go.jp/advisors/

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