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category:進学費用
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2025.05.01

高校授業料無償化 対象外の費用には何がある?

高校の授業料を実質無償化する国の制度「高等学校等就学支援金」は、2025年度から所得制限が段階的に撤廃となります。まずは国公立・私立を問わず、年間最大11万8,800円が支給され、2026年度からは、私立高校の加算分も所得制限が撤廃となり、全ての世帯が支援対象となる予定です。ただし、この制度はあくまでも「授業料」への支援であり、高校生にかかる費用が完全に無償となるわけではない点には注意が必要です。それでは無償化対象外の費用には何があり、いくら必要になるか、詳細を確認してみましょう。

高校生等への修学支援(文部科学省)

受験から入学までにかかるお金

まずは、受験から入学式を迎えるまでにかかるお金について、時系列でお伝えしていきます。なお、中学校3年生の受験直前期は、塾への支払いも多額になっている場合が多いので、高校への進学費用は別に用意しておきましょう。 

受験料
全国の私立高校受験料平均額は17,306円(令和6年度)です。学校や地域によって違いがあり、例えば東京都の場合は23,375円(令和7年度)となっています。一方、公立高校の受験料は東京都や大阪府をはじめとして多くの自治体で2,200円となっています。 202505-02.png 仮に東京都在住の方が、東京都の私立高校2校、公立高校1校を受験した場合、おおよそ50,000円となります。この他、受験会場への交通費などもかかります。受験する学校の数によって、必要な金額が変わりますので、早めに親子でチャレンジする学校数を話し合っておきましょう。


入学金
全国の私立高校の入学金は平均で165,898円(令和6年度)となっています。大阪府の場合の私立高校入学金は193,426円(令和6年度)です。一方、公立高校の場合は全国的に5,650円のところが多く、大阪府も同額です。(令和7年度) 202505-03.png 仮に、大阪府在住の方が、大阪府の私立高校2校、公立高校1校を受験し、すべて合格した場合は、総額で40万円程度となる可能性があります。例えば、第一志望が公立の高校で、その学校の合格発表前に、第二志望・第三志望である私立高校の納入期限がある場合、入学金を納めて、入学の権利をおさえておく必要があるからです。なお、延納手続きをすることで、公立高校の合格発表まで納入を待ってくれるなど、高校によって対応が異なりますので、受験する前にしっかりと確認しておきましょう。

令和6年度私立高等学校等初年度授業料等の調査結果について(文部科学省)
私立高等学校(全日制)の初年度授業料等について(令和元年度~令和6年度)(文部科学省)
令和7年度 東京都内私立高等学校(全日制)の学費の状況について(東京都教育委員会)
令和7年度 東京都立学校に入学を希望する皆さんへ(東京都教育委員会)
府立高等学校の授業料と就学支援金について(大阪府)

その他
PTA会費、生徒会費などの各種会費、制服、体操服、上靴などが必要です。制服がない(私服登校)学校があるなど、金額は様々です。ご参考までに高校の入学案内(都内)より、筆者が作成した概算の金額を提示します。

公立と私立の大きな違いは、ノートパソコンの費用です。「1人1台端末」として高校で使用する最低限のスペックを満たすものを購入する場合、一般的には5〜6万円程度となります。私立高校において「ICT教育」に力を入れている場合、高性能の端末が指定されるため、10万円を超えることもあります。

なお、お住まいの自治体によっては、公立・私立ともに、購入費用の支援がある場合も。自治体のHP等で確認をしてみてください。ただし、多くの場合、支援金は後から戻ってくることが多いので、全額用意しておくと安心です。なお、私立高校は通学バックなど、制服以外にも「学校指定品」の購入を必須としている学校もあります。詳細は学校からの案内を確認してください。

【参考:都内私立高校の例】 202505-04.png
【参考:都立高校の例】 202505-05.png ※東京都の場合は都立高校の保護者負担額は定額(3万円・令和7年)
端末購入支援金について|授業料・入学料・支援制度等(東京都教育委員会)


入学後にかかるお金

入学した後に学校に支払うものとして、施設設備費、学年費、修学旅行費、部活動費があります。また高校からは、遠方の学校に進学する場合があり、別途通学費用がかかります。
また、私立高校においては、前期・後期といった期日までに一括で授業料を支払うこともあるため、多めに資金を用意しておくことがおすすめです。

施設設備費等
全国の私立高校の初年度「施設設備費等」は年間平均で157,232円(令和6年度)でした。私立高校の場合は学校間の差が大きな項目ですので、志望校が決まった時点で具体的な金額を確認しておきましょう。一方、公立高校の施設設備費の負担はありません。 202505-06.png 令和6年度私立高等学校等初年度授業料等の調査結果について(文部科学省)

学年費(学年経費)
この費用は副教材の購入や模擬試験代、行事費、卒業文集やアルバム代などに充てられます。学校の教育方針によって使用される教材、模擬試験の利用の有無、行事の中身は異なるため、学校間で金額の違いが生じます。

参考までに、筆者が参加した高校説明会時に配布された資料では、公立高校は年間で約3万円、3年間で約9万円。私立高校は年間約8万円、3年間で約24万円(いずれも修学旅行費を除く)となっていましたので、例示しておきます。

【参考】筆者作成 202505-07.png
修学旅行費
修学旅行は高校2年生で実施されることが多く、支払い方法は一括払いや複数回の分割払いなど、様々です。「集金のお知らせ」が来てから慌てないよう、大まかな金額は入学時の説明会などでチェックしておきましょう。

文部科学省「子供の学習費調査」(令和5年度)より、修学旅行費等として計上されている金額は、1年間あたり私立高校で59,293円、公立高校で36,452円 です。3年間合計では私立高校で約18万円、公立高校では約11万円となります。旅行中の交通費や宿泊代、見学先の入場料といった旅行費の他、生徒のおこづかい、旅行バックや旅行用の私服を買い足すこと等が想定されます。 202505-08.png
部活動費等
こちらも文部科学省「子供の学習費調査」(令和5年度)より、学校教育費のうち「教科外活動費」として計上されている金額を例示します。私立高校では年間56,800円、公立高校では49,371円となっています。文化系、体育会系、あるいは全国大会に出場するレベルなどによって金額は変動しますから、参考数値としてとらえて下さい。 202505-09.png 令和5年度子供の学習費調査の結果を公表します (文部科学省)


通学費・その他
「通学費」バスや電車を使用する場合には、通学定期代、そして自転車通学をする場合には、自転車およびヘルメットの購入費が必要です。「グローバル教育」に力を入れている高校では、任意または全員を対象として、国際交流プログラム、海外短期語学研修、交換留学などがあります。「ICT教育」が盛んな学校ではICT整備費や高機能パソコン購入代、そして「探求教育」に注力している学校ではフィールドワーク活動の費用、実験代等の特別な費用がかかってくるでしょう。

また「授業料」が全国平均を上回る私立高校の場合は、無償化の上限額を超えるため、2026年度以降も、差額分は自己負担となります。なお、私立高校の「授業料」の支払い方法は、春と秋の年2回、もしくは毎月払いなど学校独自に設定されています。そのためまずは保護者が支払期日までに学校に授業料を払い、国からの支援金を学校が受領した後に、学校と保護者間で調整するといった方法が採られている場合が多くあります。

無償化以外の費用をしっかり把握しよう

高校授業料無償化によって、経済的な負担は減りますが、特色ある学びを得るためには、まだ多くの資金が必要です。10代の多感な時期だからこそ「教育」へ投資をしたいと希望される場合は、早めに資金計画を立て、準備しておきましょう。高校卒業後に大学や専門学校へ進学をする際、費用の面で困ることがないように、高校時代にどこまで教育資金を捻出できるか、検討することが大切です。
[山内 真由美]
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プロフィール : 山内 真由美(やまうち まゆみ)

ファイナンシャルプランナー(CFP®・1級FP技能士) 国家資格キャリアコンサルタント

中学生の双子の母。ファイナンシャルプランナー資格を取得後、都市銀行の支店にて個人向けに資産運用の案内を担当。現在は、東京都内の自治体にてひとり親のための家計相談、高校の保護者会にて奨学金や教育ローンの活用方法について講演している。また資産運用に関するWeb記事の執筆およびムック本の監修を担当。著書は『FPママの親と子で学ぶお金のABC・13歳からのマネーレッスン本』(河出書房新社)



J-FLEC (金融経済教育推進機構)認定アドバイザー

https://www.j-flec.go.jp/advisors/

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