中学生にかかる教育費 公立と私立の違いを徹底解説
文部科学省「令和6年度(速報)学校基本調査」によると、全国の中学校の生徒総数は3,141,166人。内訳は公立中学2,866,338人、国立中学26,846人、私立中学247,982人です。国立と私立を合わせると、約27.5万人にも上ります。全国でもっとも私立中学への進学率が高い地域は東京です。生徒総数313,943人に対し、私立中学の生徒数は82,697人(26.3%)と、すでに4人に1人を超えています。公立と私立では、かかる金額は大きく異なりますので、中学から私立に通わせるには、いくら必要なのか早めに把握しておくことがおすすめです。
e-Stat 『統計データを探す(学校基本調査 令和6年度(速報) 初等中等教育機関、専修学校・各種学校 学校調査・学校通信教育調査 中学校)』
文部科学省 報道発表『令和6年度学校基本調査(速報値)について公表します』
中学3年間総額と学年別の金額
まずは、中学3年間にかかる学習費総額を見てみます。学習費総額とは、学校教育費・学校給食費・学校外活動費の合計額のことです。文部科学省「子供の学習費調査(令和3年度)」より、全国平均値は公立中学約162万円に対し、私立中学は約430万円で約2.7倍、金額にして約270万円の差となっています。
次に学年別の金額を確認してみましょう。公立中学のピークは中学3年生の年間約64万円です。月額に換算すると約5万円と公立中学でも、家計にとって大きな負担となっています。一方、私立中学のピークは中学1年生で年間約181万円。私立は入学金や寄附金等の負担があるためです。
学年別学習費総額(中学生)単位:円
データ出典:文部科学省『2 調査結果の概要』 表2 学年(年齢)別の学習費総額
学習費総額の構成比
公立中学校の年間学習費総額は約54万円、うち学校教育費の構成比は24.6%で約13万円。一方、私立中学の年間学習費総額は約144万円、うち学校教育費の構成比は73.9%で約106万円となっています。学校教育費の違いが、公立と私立の総額の差です。ちなみに学校外活動費とは主に塾や習い事の支出であり、こちらは公立と私立の差はほとんどなく、公立に通わせている方も年間約37万円かかっています。前もって準備しておきましょう。
図出典:図3-1
文部科学省 報道発表『令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します』
学校教育費の中身を確認
1年間あたりの公立と私立の学校教育費における金額差は約90万円。一番金額が異なる項目は授業料で、その差は約48万円。次いで学校納付金が約15万円、入学金等約12万円、通学関係費約11万円となっています。中学までは義務教育ですので、公立の場合は入学金も授業料もかかりません。
表出典:表4-3
文部科学省『2 調査結果の概要』
東京の私立中学学費内訳
全国平均の次は、東京の私立中学にかかる学費について具体的にチェックしてみましょう。調査対象校は都内の私立中学181校で、その平均値が以下の表です。初年度納付金(入学の年に学校に収める金額)は、入学金約26万円、授業料約50万円、総額は100万円を超えています。
初年度納付金の詳細 (単位:円)
実は私立の場合、学校によって金額が大きく異なっているのです。初年度納付金(総額)の最高額は2,117,800円、最低額は668,000円で約145万円もの差があります。金額のランキングの上位にある学校の特徴としては、国際コースやIB(国際バカロレア)といった、国際的に活躍できる人材を育成する、あるいは大学の附属中学で、内部進学で大学まで行けるなど、特色ある学校が並んでいます。
一方、公立中学は国が定めた「学習指導要領」に基づいて標準的な学習をする地域住民のための学校です。自治体の限られた予算の中で運営されているため、設備や教員数等に限界があります。中学から私立を選択するということは、他の家庭よりも教育費を多めに負担し、子供の将来のために投資をするイメージです。
出典:
東京都『令和6年度 東京都内私立中学校の学費の状況について』
東京都『令和6年度 都内私立中学校学費一覧』
私立中学に通う家庭の年収
では、教育費にお金をかけるご家庭の年収はどのくらいでしょうか。こちらも文部科学省子供の学習費調査のデータで確認します。私立中学に通うお子さんの世帯年収は1200万円以上が40.1%と、最大になっています。次が1000~1199万円の17.7%で、上位2つで約6割を占めています。お子様の人数にもよりますが、世帯年収1000万円以上が一つの目安となるでしょう。
世帯年収構成比 (単位:%)
データ出典:e-Stat 『令和3年度子供の学習費調査 5 世帯の年間収入段階別,項目別経費の構成比』
教育費をどのように考えるか
中学から私立を選択する場合、公立よりも教育費の負担が大きくなります。その分、教育費以外でこだわりがない支出を削る、または収入を増やすなど、対策を講じる必要があります。私立の中高一貫校に進んだ場合は、途中で公立に転校させることが無いよう、6年間の学費を負担することができるか、ライフプラン表を書いて確認してみることがおすすめです。
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- プロフィール : 山内 真由美(やまうち まゆみ)
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ファイナンシャルプランナー(CFP®・1級FP技能士) 国家資格キャリアコンサルタント
中学生の双子の母。ファイナンシャルプランナー資格を取得後、都市銀行の支店にて個人向けに資産運用の案内を担当。現在は、東京都内の自治体にてひとり親のための家計相談、高校の保護者会にて奨学金や教育ローンの活用方法について講演している。また資産運用に関するWeb記事の執筆およびムック本の監修を担当。著書は『FPママの親と子で学ぶお金のABC・13歳からのマネーレッスン本』(河出書房新社)- オフィシャルWebサイト
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