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category:進路選択
見つかる、キミの未来。中学校・高等学校 進学NEWS
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2022.01.01

保護者のお悩み相談(5)-子どもの望む進路を素直に応援できないときの子どもとの向き合い方

「実家から離れた学校に進学したい」
「海外留学したい」
「一人暮らしをしたい」

こんな声をお子さんから聞いたことはありますか。
お子さんの希望している進路を聞いて、
戸惑ったことのある方も多いかもしれません。

今月のテーマは、
子どもの望む進路を素直に応援できないときの対応についてです。

まず、はじめに、保護者の方の声をご紹介します。

「中学生の息子が、動画クリエイターなるために
地元から離れた高校に進学したいと言っています。

これまで実家を離れたことがないので、
息子が親元を離れて暮らすことができるのか心配です。
また、動画クリエイターとして生活していくというイメージが湧かず、
息子の将来に不安を感じています。

保護者の立場から、どのようなサポートができるでしょうか。」

お子さんのことを大切に思うからこそ、
「その道に進んで生活していけるか」、
「傷ついて帰ってくることになるかもしれない」といったように
お子さんを心配されることもあるのではないかと思います。

今回の記事では、
お子さんが想定外の進路を話してきて戸惑ってしまったり
お子さんの希望する進路を素直に応援できなかったりしたときに、
保護者の方が実践できる対応をご紹介します。

子どもがやってみたいことを話すのは、成長の証

想像していなかった進路に進みたいという思いをお子さんから聞いたとき、
かかる費用や将来の安定性などの観点から
すべての内容に賛成できないこともあるかもしれません。

しかし、お子さんが希望する進路について話したときに、
心に留めておいてほしいことがあります。

それは、
チャレンジしてみたいことを親に伝えられたこと自体が
「成長の証」だということです。

なぜなら、思春期の発達段階において
やってみたいことを言葉にできることは、
勇気を伴うとても大切なことだからです。

思春期の発達段階とは
子どもが「自分とは何か」という問いと、深く向き合う時期です。
その時期に、彼らは自信がなくなったり
社会に出ていく上で様々な葛藤を感じたりしています。

大人からすると甘い考えだと思うことも
本人にとっては大きな希望や決断かもしれません。

また、挑戦したいことを親に伝えるのは、
多くのエネルギーを必要とする行為でもあります。

お子さんが話したことを現実に「できる」「できない」で評価するのではなく、
まずは、将来何をしたいかについて言語化できたことを
ポジティブに捉えてほしいと思います。

好奇心を持って、子どもの話を聴く

ここからは、
お子さんの望む進路を素直に応援できないときの具体的な対応を
3つのステップに分けてご紹介します。

1つ目のステップは、お子さんの話をしっかりと聴くことです。

このとき大切なのは、好奇心を持つこと。

具体的には、
・なぜその進路に進みたいと思ったのか? きっかけとなった出来事
・そのときの感情
などについて好奇心を持って聴いていきます。

これらの点に注目しながら
「どうしてそう思うようになったの?」
「そのときどう思ったの?」などと
お子さんに質問してみてください。

共感しながら、子どもの気持ちを受容する

2つ目のステップは、
共感しながら、お子さんの気持ちを受けとめることです。

「そんなことがあったら興味が湧くね」
「それは悔しかったね」などと、
話を聴きながら、お子さんの感情をしっかりと受けとめてほしいと思います。

「こんな出来事があったから、
こんな気持ちになったんだね」というようにお子さんの言葉を伝え返しながら、
話をじっくりと聴くことを意識してみてください。

このとき、「応援できない」とか「心配である」という気持ちが湧いても
一旦お子さんの考えを聴くことに集中していただきたいと思います。

未来について考えられる質問を

3つ目のステップは、未来について考える質問をすることです。

やってみたいことを叶えるためには、
「これからどうしていけばよいか」について
考えを深めていくことが大切です。

具体的には
「これから何をしたらいいと思う?」
「どんなステップが必要?」
「どんな条件が必要?」などと、
お子さんが未来について考えられる質問をします。

例えば、動画クリエイターになりたいお子さんの場合です。
希望する方向性を頭ごなしに否定する前に、
まず、本人が考えていることを聞きましょう。

「動画クリエイターになるにはどんな準備が必要だと考えている?」
「動画クリエイターになって、どんなことをしたいと考えている?」
などです。

そうすると、お子さんからは
・動画制作の技術を学ぶ必要がある
・実際のクリエイターの仕事の流れを知る必要がある
・動画クリエイターになったら、人の人生の感動をカタチに残せる手伝いをしたい
など思いを述べてくれるかもしれません。

もし、このような考えが出てきたのなら、
これらを学ぶには、まずどんな行動をしなければならないのか?
スクールに通うならどの程度の資金の準備が必要なのか?
一人で仕事をするイメージなのか
会社で仕事をするイメージなのか等

さらに具体的に問いかけてみてください。

本人の中で考えきれていない部分が
沢山あるかもしれませんが、
このような問いかけを通じて
自分自身で主体的に考えたり調べたりするきっかけを作ってあげましょう。

どのように希望の進路を叶えるかという手段まで
お子さんが具体的にイメージできるようになることが大切です。

すべてに賛成できないときは、お互いが納得できるところまで話し合う

場合によっては、
お子さんの話すべてに賛成できないこともあるかもしれません。

そのとき重要なのは、
いかに話し合うことができるかです。

時間をかけながら、
お互いに納得できるところまで、
お互いの思いを伝え合ってみてください。

ご自分の思いをお子さんに伝えるときは、
「私は」を主語にしたアイメッセージで、
「私は~だと思う」とお子さんに伝えてほしいと思います。

お子さんの話を否定するのではなく、
「私はこう感じた」「私はこう思う」と
あくまでも一つの考えとして、
お子さんに伝えることがポイントです。

お子さんの思いと同様に
ご自分の思いも大切にしてください。

お互いの意見が対等であることを示しながら、
お子さんの進路について話し合えるといいですね。

お子さんの進路選びのサポートや
お子さんとの日頃のコミュニケーションに役立てていただけると嬉しいです。

[加藤 小百合]
nakamura_sayuri.jpg
プロフィール : 加藤 小百合(かとう さゆり)

国家資格キャリアコンサルタント。同志社大学 文学部 英文学科 卒業。10代の頃、親や周りの大人の想いに応えたいと思う一方で、自分の進路や人間関係に対して、大切にしたいことに迷い、悩み、葛藤していた。大学卒業後、教育業界に就職し、延べ3000人以上の中高生の進路カウンセリングの支援を経験する。現在は、10代の子を持つ親御さんたちが、進学・就職・人間関係に悩む我が子への想いを一人で抱えず、自分自身を責めることなく、誰かに素直な心で話せる機会、そして、親子間での理解をあきらめずに、より良い親子のコミュニケーションのあり方を追求していく機会を実現するために、コーチングを行っている。また、10代の進路選択をサポートしている。

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