保護者のお悩み相談(3)-子どもの学校選びに必要な情報を集めるにはどうすればいいか
「お子さんの進路選びをサポートしたい」
そう思う一方で、
どのような方法でお子さんをサポートすればよいのか、
迷った経験のある方も多いのではないでしょうか。
今月は「学校選びに必要な情報をどう集めたらよいかわからない」ときに大切なことをご紹介します。
はじめに、ある保護者の声を聞いてみましょう。
「高校受験に向けて、中学1年生の息子には
できるだけ早く志望校を決めてほしいと思っています。
でも、様々な学校があるため、
どのように情報を集めればよいかわからずにいます。
何から始めるべきでしょうか。
保護者ができるサポートについて教えてください。」
進路選びで必要不可欠なのが、
学校についての情報収集です。
たくさんある選択肢の中から
どのように情報を集め、
志望校を決めればよいのでしょうか。
進路選びで"保護者が"重視していることを整理する
情報収集をサポートするうえで大切なのは、
まず、保護者の方がご自身の「思い」を見つめることです。
最初に、次の2点を振り返ってみてほしいです。
1点目は、自分がこれまでどのような軸で進路を選んできたか。
2点目は、お子さんにどのような学校に進学してほしいと感じているか。
つまり、お子さんが学校を選ぶとき、どの軸を大切にしてほしいかということです。
進路を決めるときに重視する軸は、
人によって異なります。
例えば、以下のような情報をもとに考えるのではないでしょうか。
・学費
・偏差値
・カリキュラム、授業スタイル
・設備
・通いやすさ
・卒業生の進路
・学校のイメージ
・教員から受けられるサポート
みなさんは子どもの頃、
どのような軸を重視して進学先を選びましたか。
また、現在お子さんに
大切にしてもらいたい軸はありますか。
お子さんの情報収集をサポートするために、
まず、ご自身のこれまでとお子さんへの思いを
振り返ってほしいと思います。
進路選びで"子どもが"重視していることを整理する
お子さんに「こんな学校に進学してほしい」と感じる背景には、
保護者の方のこれまでの経験が
影響していることがあります。
しかし、保護者の方の考えがあるように、
お子さんも自分の考えを持っています。
お子さんはどんな意見を持っているのでしょうか。
まず、保護者の方がこれまでを振り返り、改めてご自身の思いを把握してみる。
そして、次に「お子さんが」どう思っているかに意識を向けてみてほしいと思います。
「これまでの経験から私はこう思っているけれど、
違う経験をしてきた子どもはどう感じているのだろう」
「子どもはどうしたいと思っているのだろう」
このようにお子さんの考えに思いを馳せることをお勧めします。
そして、実際にお子さんの考えを聞きながら、
進路選びのうえでどの軸を重視するかを話し合う機会をつくってみるのも
お子さんをサポートする一つの方法です。
話し合いの際は、ご自身の考えも伝えながら、
お子さんの意見を引き出すことを大切にしてほしいです。
あくまでも一つの考えとして、
保護者からの意見を伝えることで、
お子さんは新しい視点を得ることができます。
その際は、「私はこの軸が大事だと思うけれど、聞いてみてどう思った?」と
お子さんの考えを尋ねることがポイントになります。
そして、進路選びでお子さんが重視している軸を整理し、
優先順位の高いものを5つ考えてみてください。
絞った軸をもとに、学校の情報を集める
お子さんの決めた軸をもとに、情報収集を手伝うことも
保護者ができるサポートの一つです。
大事にしたい軸が決まっていると、
学校の情報を集めるときに
どんなキーワードに注目したらよいかが見えてきます。
学校のパンフレットやホームページを見るときに、
情報が集めやすくなるはずです。
学校に関する情報を調べるだけでなく、
直接話を聞くことも情報収集の一つの手段です。
例えば、オープンスクールは
学校について知る絶好の機会になります。
進路選択で大事にしたい軸が決まっていると、
学校に訪れた際に、必要な情報を得るための具体的な質問ができます。
また、知り合いの方に意見を求めることもお勧めです。
その際も、重視している軸とその理由を事前に明らかにし
具体的な質問をすることで、
より明確な意見を聞くことができます。
例えば、「どんな学校が息子にオススメですか」という質問ではなく、
「息子が将来英語の先生になりたいと言っていて、
英語教育のカリキュラムが充実している学校を探しているのですが、
オススメの学校はありますか」といった具体的な質問ができるはずです。
お子さんの大切にしたい軸に沿った情報収集を行うこと。
それが、お子さんにとってベストな進路選びにつながります。
- プロフィール : 加藤 小百合(かとう さゆり)
-
国家資格キャリアコンサルタント。同志社大学 文学部 英文学科 卒業。10代の頃、親や周りの大人の想いに応えたいと思う一方で、自分の進路や人間関係に対して、大切にしたいことに迷い、悩み、葛藤していた。大学卒業後、教育業界に就職し、延べ3000人以上の中高生の進路カウンセリングの支援を経験する。現在は、10代の子を持つ親御さんたちが、進学・就職・人間関係に悩む我が子への想いを一人で抱えず、自分自身を責めることなく、誰かに素直な心で話せる機会、そして、親子間での理解をあきらめずに、より良い親子のコミュニケーションのあり方を追求していく機会を実現するために、コーチングを行っている。また、10代の進路選択をサポートしている。
- オフィシャルWebサイト
- https://career-design-lab.net/